長い夜

夜の病室で

ベッドのそばの椅子に座って

目を閉じた父の顔を見ていると

抑えていたはずの涙が溢れだして

マスクをびしょびしょにしてしまった


逝こうとしているひとを

見送る夜は長い

やすりをかけられているように

心がすり減っていく

それでもこれは耐えねばならない痛みだ


ごめんね

最後まで頼りない娘かもしれないけど

どれだけ泣いても見届けるから

おとうさんの人生の終幕を

わたし、ちゃんと見届けるから


見届けるから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る