【鋼鉄要塞】【大神殿】編
第26話
ユーノを正式なパーティーメンバーに加えた翌日。
早速俺たちはダンジョン探索に来ていた。
──Bランクダンジョン【
ゴーレム系統の魔獣が多く出現する亜空間タイプのダンジョン。
ここが本日の俺たちの探索場所だった。
「さて、みんな揃ったな?」
入口ゲート前に集合した面々へと確認を取った。
もちろん少人数だし、顔ぶれを見れば全員いる事は一目瞭然なのだが、何事も形式というのは大切である。
「うす、見ての通り揃ってるっすよ」
「はい、賢人さん」
「いつでもいけるのじゃ」
各々から返事が返ってきた。
それを確認した後、俺は【収納】ポーチからステータスカードを取り出した。
「じゃあ早速だが、各々のステータス情報を交換しよう。前回の探索から色々と変化があるはずだからな」
「りょっす。果たしてパイセンは一体どんな化け物になってるんすかねぇ……」
軽口を言いながら、星奈はステータスカードを取り出した。
続くように瑠璃子とユーノもカードを手元に準備した。
まずは俺のステータスから。
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<基本情報>
名称 :馬原 賢人
天職 :賢者
レベル :46
体力 :31270
魔力 :0
攻撃力 :23872
防御力 :23544
敏捷 :23471
幸運 :24528
<スキル情報>
SLv1効果:
・保持者の魔力値に-100%の補正。
・保持者の魔力値以外のステータス基礎値に-50%の補正。
Lv2効果:
・失った魔力値の20%分、魔力を除く全ステータスを増加させる。
【火属性魔法】SLv3
【水属性魔法】SLv1
【風属性魔法】SLv1
【地属性魔法】SLv1
【雷属性魔法】SLv1
【
【詠唱短縮】SLv1
【聖属性魔法】SLv1
【回復魔法】SLv1
【状態異常解除】SLv2
【状態異常耐性】SLv6
【闇属性魔法耐性】SLv3
【杖術】SLv MAX
────────────────────────────────
脳筋としか言い様のないステータス。
レベル上昇に伴って上級魔法っぽいのを覚えたのだが、使い道は皆無である。
名前が超カッコいいからめちゃくちゃ使いたいんだが……。
「脳筋っすね」「脳筋ですね」「脳筋じゃな」
みんな同じ感想だったようだ。馴れって怖いものである。
最初は俺のステータスについてみんなベタ褒めだったのに、今では『あぁ、はいはいチートチート』くらいの感想しか飛んでこないのだから。
続いて、二人のステータス。
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<基本情報>
名称 :神坂 星奈
天職 :盗賊
レベル :42
体力 :15135
魔力 :8961
攻撃力 :1543
防御力 :1344
敏捷 :3087
幸運 :3286
<スキル情報>
【罠探知】SLv8
【罠解除】SLv6
【気配察知】SLv9
【短剣術】SLv8
【投擲術】SLv8
【加速】SLv6
【隠密】SLv3
【逃走術】SLv7
【アイテム奪取】SLv5
【解錠術】SLv7
【収納上手】SLv8
────────────────────────────────
────────────────────────────────
<基本情報>
名称 :雨宮 瑠璃子
天職 :神官
レベル :41
体力 :11315
魔力 :37113
攻撃力 :1086
防御力 :905
敏捷 :679
幸運 :2082
<スキル情報>
【聖属性魔法】SLv7
【回復魔法】SLv8
【状態異常解除】SLv7
【状態異常耐性】SLv8
【闇属性耐性】SLv7
【詠唱短縮】SLv3
【杖術】SLv3
────────────────────────────────
星奈と瑠璃子はそれぞれの天職に則した成長を見せていた。
俺のようなぶっ飛んだステータス値は無いものの、各種スキルレベルが向上しており、探索活動において重要な役割を果たしている。
特に瑠璃子の【
彼女の
たとえ10%の上昇であっても、2000以上ステータス上昇するのだから。そんな有用な魔法を即座に発動できるようになるため、その恩恵は大きい
ちなみに【回復魔法】のスキルレベルが上がった事により、【
もしや俺もこれで魔法が使えるのではないかと期待したが、どうも俺の
回復した直後に魔力が0に戻ってしまうので魔法の使用は断念せざるを得なかった。
──最後にユーノである。
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<基本情報>
名称 :ユーノ
天職 :女教皇
レベル :58
体力 :36250
魔力 :96904
攻撃力 :3236
防御力 :2756
敏捷 :2153
幸運 :5824
<スキル情報>
【
・所有者の知能を大幅に向上させる。
・叡智の書へアクセスし、望んだ知識を得る。権限レベルはスキルレベルに依存する。
【聖属性魔法】SLv MAX
【闇属性魔法】SLv8
【
【回復魔法】SLv MAX
【状態異常解除】SLv4
【状態異常耐性】SLv8
【聖属性耐性】SLv7
【闇属性耐性】SLv7
【詠唱短縮】SLv6
【杖術】SLv3
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流石はSランク冒険者を超えるステータスだと豪語するだけあった。
魔術師系統寄りのステータスで、かなりの高レベルだ。
ちなみに彼女はそのステータスの高さから特別にBランクからスタートできるとの事。
──というのは建前で、無償で管理局に差し上げたゴブリンキングの魔石、つまりお金の力である。しかしながら管理局の名誉のために補足しておくと、このレベルだからこその特例だ。
普通の人間は
それに
敵の情報を知れるという事は、ガチ初心者のように無謀な事をするリスクが減るわけだ。
そう考えれば、Bランクスタートはある意味適切だろう。
それにしても本当に何でも情報を得られるんだな。今度からウィキ子とでも呼ぼうか。
「ほむ……どうしたもんか」
「どうしたウィキ子。何か問題でもあるのか?」
「待つのだ、お主! 勝手に悪意極まりないアダ名を付けるでない! なんなのじゃウィキ子って! そんな使い勝手の良さそうなアダ名は嫌なのじゃ!」
おっといけない。思考していた事が思わず口に出てしまったようだ。
「冗談だよ、許してくれ。それで、どうかしたのか?」
「全く、お主という奴は……。いやなに、ちょっと役割が被りそうでな」
そう言ってウィキ子──じゃなかった。ユーノは、気まずそうな顔で瑠璃子に目を向けた。
あぁ、そういう事ね。それを見て俺もすぐさまユーノの意図を理解した。
「ふぇ……ユーノちゃん、私の完全上位互換です……」
ユーノの視線の先には虚ろな目で固まる瑠璃子の姿。
それもそのはず。ユーノのスキルセットは神官とほぼ同じだったからだ。
おまけに【聖属性魔法】と【回復魔法】のスキルレベルは最大だった。
さらにユーノは神官のスキル一式に加えて闇属性魔法を覚えていた。
恐らくだが、この
うん、歯に衣着せようもない、完全な上位互換だ。
「賢人さん、私は……クビ、ですか……?」
目をうるうるさせながら瑠璃子が俺に尋ねる。
薄幸かつ儚いその瞳は、憐情を通り越して美しく見えた。
「そんなわけ無いだろう。ユーノには【闇属性魔法】による妨害と攻撃役を担ってもらう。非常時以外は、引き続き瑠璃子が
「そうっすよ。瑠璃子はユーノのパイセンっすからね。がっつり先輩風吹かしていいんすよ」
「悪いが星奈、お前のパイセン理論はちょっと意味がわからん。──ともかく、ユーノもそれで良いな?」
訳のわからない事を口走る星奈を無視して俺はユーノに確認を取った。
ユーノもそれで問題無いようだ。うんうんと頷きながら、
「問題ない。妾もどちらかと言えば【闇属性魔法】のスキルレベルを上げたいと思っておったからの」
「──というわけだ瑠璃子。引き続き、援護を頼むぞ」
ユーノの意見を締め括った後、俺は瑠璃子に笑顔を向けた。
「賢人さん……ユーノちゃん……ありがとうございます!」
嬉しそうに微笑む瑠璃子。あ、天使。
「それじゃお互いのステータス確認も終わったことだしダンジョンに入場するか。みんなステータスカードに通知がきてたから知ってると思うが、近頃ダンジョンランクの上昇現象が各地で報告されてるらしい。俺が潜った【
「りょっす」「はい、了解です!」「わかったのじゃ」
先日、管理局を訪れた際にダンジョンランク上昇について報告したところ、どうやら同じような現象が各地から報告されているらしい。
何らかの異常がダンジョン内で起こっているのは明白だが、そのはっきりとした原因は未だ不明だそうだ。
それ故に、今から潜るダンジョンもそれなりに警戒しておかないとな。
俺はともかく、従来のBランク相当ステータスの星奈や瑠璃子にS級魔獣の攻撃なんかがあたったら大変だろうしな。
(ユーノの事といい、ダンジョンでいったい何が起こってるんだろうな……)
若干の不安を感じつつ、俺はゲートのICリーダーにステータスカードをかざした。
──機械音声と共に、
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