哀愁

風がふく。


紅く色づいた木々がさわさわと揺れる。紅葉狩りに来たというのに、彼は執拗に横ばかり見ている。その視線の先には、私がいる。

彼はいつもそうだった。


秋は夕暮れ、とは言うが、夕暮れを背に立つ君の横顔の方が何倍も美しいものだ。


きざな台詞を吐いて、隣の人間は立ち去る。

彼の最後の表情は、夕焼けに照らされて見ることができなかった。

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