第695話 南の森での決着
東方魔聖教会連合のゴーレムは様々な形態があるがどれも体長五メートルを超える巨体である。
『さっきロビンさんが斃したゴーレム、その体内を分析シマシタ~。自爆の機構はないようです。ただ各部位に魔力の蓄積がアリマス~、それとファーマーさんが言っていた素材を検知しまシタ~』
ついてきてくれたピエールの分裂体からそんな念話が届いたため、ロビン、フィン、ファーマーさんは行動を開始した。
炎を吐き雷光を纏うアンデッドの巨馬を手足のように使い、その大剣でゴーレムを次々と真っ二つにするロビン。華麗なる剣技でまるっこい砲台型と思われるゴーレムの手足を斬り飛ばして無力化するフィン。その双剣で巨大なゴーレムを瞬く間に細切れにするファーマーさん。
最初にロビンの特攻で爆散したゴーレムを除けば東方魔聖教会連合のゴーレムは残り百四十九体。次々と斃されるゴーレムを目の当たりにした東方魔聖教会連合のローブを纏った男はゴーレムから距離を取るように後方へと下がる。
そして男は再び気持ちの悪い笑みを浮かべ、懐から水晶玉のようなものを取り出す。
「我々のゴーレムを簡単に屠る力……、これはさすがに我々がルガリア王国の実力を見誤っていたことを認めざるを得ません!」
そうして水晶を高々と掲げる。狂気を感じさせる笑みを顔面に張り付かせつつ、
「しかし、所詮は王家の飼い犬にすぎない魔物!我々のゴーレムの機構をご存じないようだ!」
男の周囲に魔力による障壁が生まれる。そんな男の言動を無視してゴーレムを屠りまくるロビンとフィンとファーマーさん。
するとロビンたちが斃したゴーレムの残骸から風の魔力による反応が高まる。それと同時にゴーレムの部位が次々と爆散し、周囲一帯に
周囲に爆音がとどろき、もうもうと土煙が舞い上がる。
「ふふ……、いかがです?不可視の風魔法といわれる
「まあ、そよ風どいったどごろだべね」
男の言葉を遮るように男性による渋めの声が響く。すると先ほど発現した大量の
「禁忌の素材を使用しているとはいっても、この程度の
「私たちに何らかの影響を与えるクラスの魔法を人族に求めるのは難しいと思うのですけどね……」
ファーマーさんに続いてロビン、フィンも無傷で姿を現す……、というか多数の
「ではゴーレムさ使用した
空っぽのはずのエルダーリッチの双眸に燃えるような光を宿しつつファーマーさんが双剣を十字に構える。何かの台詞が聞こえたのはきっと気のせいである。
「双剣で我々のゴーレムを屠る技量とその魔力……、完全にルガリア王家の力を見くびっていました。これは撤退事案ですね」
ロビンたちのことをルガリア王家が使役している魔物であるという盛大な勘違いをしたままなのだが、そこについて指摘する者は誰もいない。
いつのまにか男の手には小さな懐中時計のようなものが握られている。転移の魔道具だ。再度、気持ちの悪い笑みを浮かべる男。
「ふふ……、いずれあなた方とは……、いえルガリア王国とは必ず決着をつけさせて頂きますよ。その日までせいぜい平和な日々を貪っておいてください……」
そう言うのだが、その後、男には何の変化も起こらなかった。
「あ、申し訳ねだ。周囲さ結界張ったごどお伝えしていながっただね。転移魔法なんて繊細な魔法使えるわげもねだよ。ちなみに周囲さ音も生命反応も漏らさね結界だすけ、あんだ達の存在自体がすでにながったごどになってらじゃ」
しれっと伝えるファーマーさん。
「そんなバカな!?」
「バカになんてしていませんよ。そしてあんだはわんどが捕えあんす。こった感じで……」
ファーマーさんがそう答えるのと同時に、どこからともなく現れた虹色のスライムが聖教会連合のローブを纏った男の全身を包み込む。瞬時に意識を失わされた男はピエールの分裂体によって連れ去られた。
「では吾輩は残っているゴーレムを斃すとするか……」
「お手伝いしますよ?ピエール殿……、の分裂体殿……、残骸の後始末をお願いしても?」
「もちろんデス~」
「
あっという間の話し合いを終え、次の行動を開始する四体の魔物の姿がそこにはあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます