第671話 解析結果とエルフの怒り
「間違いね。この部品には
呻くような口調でそう呟くファーマーさん。
『
ミナトが心の中でそこまで呟いた時、一瞬にして周囲一体を剣呑な魔力が覆い尽くした。
凄まじいプレッシャーを全身に感じるミナト。夏の陽光を感じることができた明るい中庭の空気が一変する。
「やっぱり……、あの風魔法の威力はおかしいと思ったのよ……。ファーマー、ありがとう。私にはそこまでの解析はできなかったから……。この大陸の滅ぼすべき存在がまだ残っていたってことね……」
暗い表情で俯きながらそう呟くシャーロットから溢れ出した魔力が殺気を帯びる。
「シャーロット!?」
倍加するプレッシャーにミナトも驚きの声を上げる。今日は【保有スキル】である泰然自若が機能していないらしい。
「シャーロット様、落ぢ着いでけせ」
こんな状況下にも関わらず落ち着いた声音でそう話すファーマーさん。
「こんなことを知らされた状態で落ち着けというのかしら?」
魔力から感じる強烈な殺意がその圧を増す……、この魔力を向けられた者には確実な滅びが与えられるのだろう。そんなことが理解できてしまうほどの絶望的な魔力の奔流がそこに出現していた。
「落ぢ着いで聞いでけせ。この
『死んでいる
ファーマーさんの言葉をミナトは心の中で呟く。
「何者がは分がらねが、
極めて落ち着いた口調で淡々とそう説明するファーマーさん。見た目は『前へ!』を連呼しながら死者の群れに突っ込んで行く神父様だが今のファーマーさんは冷静な佇まいのダンディーなおじ様といった感んじである。
そんなファーマーさんの冷静な口調が効いたのかミナトの周囲に立ち込めていた瘴気にも似た魔力が霧散する。
「そういうこと……、でも
「それはもぢろんそうだ。そのだめにもこごは冷静になるべし」
「分かったわ!」
そんな様子見たミナトは、
「シャーロット?大丈夫?」
そう話しかける。
「ええ、ミナト、私は大丈夫。ちょっと取り乱したわね。ごめんなさい」
そう言ってくるシャーロット。どうやらいつものシャーロットに戻ってくれたらしい。素直に嬉しいミナトである。
「よかった……。それじゃ、改めて聞かせてもらってもいいかな?解析魔法でシャーロットとファーマーさんはゴーレムの何を知ったの?
「ミナトはまだ
「それはどうして?」
「
今回の様々な出来事に世界の属性を司るドラゴンが関係してくるとはさすがに考えていなかったミナトは素直に驚く。だが【保有スキル】である泰然自若が機能しているらしい。すぐに冷静さを取り戻すミナト。
「これはゴーレムを造った連中を滅ぼした後で『風のダンジョン』に行く必要があるわね」
「えっと……、いろいろと詳しく教えてもらっていいかな?」
シャーロットとファーマーさんにそうお願いするミナトであった。
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