第540話 ファーマーさんの戦闘法
漆黒のスケルトンによる抜き打ちを交差した双剣で真っ向から受け止めるファーマーさん。
その衝突で周囲の大気が震撼する。
「
『また聞こえる……、そうか……、この感覚は念話に近い……、ファーマーさんの言葉が念話で届いている感覚だ』
ミナトはファーマーさんの言葉が南部弁ではなく標準語で聞こえる違和感をそう解釈した。ファーマーさんが纏っている魔力が念話と同じ効果を発揮しているらしい。
『全身に魔力を纏って身体能力を上げたってことかな?』
ミナトが胸中でそう呟くのと同時にファーマーさんの身体から爆発的に魔力が噴き上がりそれが炎へと姿を変える。当然、全身が炎に包まれるファーマーさんだが、
『あ、姿がリッチに戻っている』
戦闘でも使用するためか動きやすそうな司祭服はそのままに炎に包まれたスケルトン状態になっているファーマーさん。
『目を覗き込んでこれまでの罪と与えてきた苦痛を相手に返すライダーみたい……』
そんなことを考えるミナト。その瞬間、
「マズイ!」
何かを感じた漆黒のスケルトンがファーマーさんとの間合いを外そうと後退しようとして、
「
ファーマーさんの言葉と共に双剣から繰り出された無数の斬撃が漆黒のスケルトンを襲い斬られた箇所から炎が上がる。あっという間に炎に包まれる漆黒のスケルトン。
「
いつの間にか戦闘狂の神父様姿に戻ったファーマーさんが和かにそう告げる。
『シャーロット?エルダーリッチって剣士だっけ?』
思わずそう聞いてしまうミナト。
『あれはファーマーが近接戦闘で用いる戦い方の一つよ。彼には
シャーロットがそう念話を返してくれる。ファーマーさんのスキルである
『うむ。そして自身の魔力を炎へと変換し双剣を魔法付与されたかのように使用する』
『ん。そしてその魔法は強力!相変わらず多才!』
デボラとミオもそう言ってきた。
『相変わらず凄まじい練度で双剣を使用されますね。本職は魔導士ですのに……』
『スゴいデス〜』
オリヴィアもピエールからも念話が届く。
ちなみにナタリアとロビンは闘いの観戦よりも貴腐ワインとブランデーにご執心なようだ。
そうして蹲る漆黒のスケルトンから炎が消える。ミナトが腕を斬り飛ばしたときと同様にスケルトンの全身から斬られた傷が消えその全身が修復される。
『再生能力が凄いのかもね……』
そんなことを思うミナト。
「さでわんどの闘争もこのぐらいにしてあぢらでお酒でもいががだが?ミナト殿にお願いすればうめぇカクテル……」
戦闘モードを解除したのかファーマーさんからはまた南部弁のみが聞こえてきた。
しかし……、
「マダダ……。マダ終ワレナイ……。コノ機会ヲ……、二千年ブリノコノ闘争ヲ……、コンナ簡単ニ終ラセルコトナド許サレナイ……」
そんな呟きと共に漆黒のスケルトンの全身からドス黒いガスのようなものが噴き出す。スケルトンの足元の草がスケルトンを中心に同心円状に枯れ始めた。恐らくは瘴気、だが漆黒のスケルトンから生み出されているこの瘴気は封印が解けた際に周囲立ち込めた瘴気とは比べ物にならないほどの邪悪な気配を放っている。
「ちょっと!どんなレベルの瘴気を放っているのよ!?ミナト!
「了解!」
シャーロットの言葉と同時にミナトの手から漆黒の鎖が出現するのであった。
【闇魔法】
ありとあらゆるものが拘束可能である漆黒の鎖を呼び出します。拘束時の追加効果として【スキル無効】【魔法行使不可】付き。飲んで暴れる高位冒険者もこれがあれば一発確保!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます