第523話 対ワイバーンと対オーガ
「ティーニュさん、ちょっとワイバーンとオーガを倒してきますからカーラさん達を宜しく!」
「いつもあなたに貴族の相手をさせて申し訳ないわね。今度何かで埋め合わせはするわ!」
「うむ。埋め合わせの件は楽しみにしていてもらおうか!」
「ん。こんど招待する!」
極めて一方的にそんな言葉を残したミナトたちが凄まじい速度でマルトンの砦へと駆け出す。
「え?」
思わず声の方へと振り向くティーニュ。だがそこにいたはずにのミナトたちの姿は影も形も無くなっていた。
シャーロットの魔法による高速移動や、デボラとミオの身体強化による高速移動は破格のものだが、【保有スキル】白狼王の飼い主と【眷属魔法】
【保有スキル】白狼王の飼い主:
白狼を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
身体強化魔法の性能を圧倒的に向上させる。上限はなし。強化の度合いは任意。
強化しすぎると人族では肉体が瓦解する危険があるので注意。
種族が人族であるときは気を付けましょう。
【眷属魔法】
極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。アースドラゴンを眷属化したため取得。
未だギリ人族のミナトは強化のしすぎには細心の注意を払いつつ砦との距離を一気に詰める。砦まで直線距離でおよそ一キロ強、そこに到達するまでに要した時間はわずか十数秒。
『デボラとミオはワイバーンをお願い!おれとシャーロットでオーガ退治だ!ピエールはおれの守りをよろしくね?』
『うむ。任された!』
『ん。羽虫退治!』
ミナトの指示に頷いたデボラとミオが駆け抜けた勢いそのままに砦の城壁へと着地する。当然のごとく発生する凄まじい衝撃音と舞い上がる土煙。
『シャーロット!』
『オーガはあの城壁の向こう側ね。跳ぶわよ!』
ふよふよ。
そうして一足跳びに城壁を飛び越える
こちらはオーガ群のすぐ目の前に勢いそのままに着地した。もちろん当然のごとく発生する凄まじい衝撃音と舞い上がる土煙。
砦にいた騎士達が何事かと対ワイバーン戦や対オーガ戦のための準備の手を止め、衝撃音と土煙の上がった二箇所へ視線を向ける。
対ワイバーンのために弓矢やバリスタのような武器を用意していた城壁にいる騎士達の目に飛び込んできたのは大胆なスリット入れられた赤い民族風の衣装に身を包んだ長身の美女と青い民族風の衣装に身を包んだ美しくも可愛らしい少女。
城壁を登る可能性のある身体能力を誇るオーガを斃すため決死の覚悟で砦外へ打って出る準備を進めていた騎士の視線の先には、黒い外套を纏った男と魔導士風の衣装を纏った白い肌と金髪は特徴の美しいエルフ。
シャーロットが風魔法を展開しミナトへ頷いてみせる。音声拡張の魔法だ。
「おれたちは冒険者パーティ『竜を
ミナトの声が周囲に響く。バウマン辺境伯領の騎士が『手柄を横取りされた』などとは言ってこないと思うミナト。だが余計なトラブルを避けるため創作も加えつつ自分たちが公爵家所縁の者であり、その行動は辺境伯も認めていると宣言してしまう。
『辺境伯からの許可の部分は後でティーニュさんとかがなんとかしてくれるってことにしよう』
心でそう呟いているとミナトとシャーロットの登場に戸惑って動きを止めていたオーガの群が二人に向かい鬨の声のような咆哮を上げる。無事、
「さてと……、戦闘開始といきますか!」
この時ばかりは好戦的な笑み浮かべるミナトであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます