第520話 領都イースタニアでの新たな出会い
結論からいうと、バウマン辺境伯領の領都イースタニアでの滞在期間、ミナトたち一行は滞在先であるである『ベビードラゴンとパペットと笑う宝石袋が夢の彼方邸』から一歩も出ることなく出立の日までを過ごした。
これが何の依頼も受けていない旅の途中であればこの街にあるというバルトロス教の教会へ訪れたり、街の散策などをしてみたりしていただろう。
そしてその結果として、テンプレ的展開となりバルトロス教の重要人物と遭遇したり、バルトロス教の関係者と揉めたりといった展開があったかもしれない。
だが現在は依頼の遂行中である。今回の依頼は神聖帝国ミュロンドの帝都グロスアークから神聖帝国ミュロンドの第三王子であるジョーナス=イグリシアス=ミュロンドをルガリア王国の王都まで連れてくる際の護衛である。
神聖帝国ミュロンドと国境を接しているバウマン辺境伯領で神聖帝国が絶対的な国教と定めているバルトロス教の関係者と問題を起こした場合、第三王子のルガリア王国行きに問題が生じる可能性が高い。
依頼者であるルガリア王国第一王女であるマリアンヌ=ヴィルジニー=フォン=ルガリアの要望に応えたいミナトたちにとってそれは望む展開といえなかった。
さらに二日目の朝、どこで滞在先を知ったのかは分からないが、ミナトの下にバウマン辺境伯の使いと名乗る者からの書状が届く。そこにはブランディルらしき人物がバルトロス教の教会に入ったらしいという内容がバウマン辺境伯とカーラ=ベオーザの署名と共に
そうして出立の日、バウマン辺境伯家の屋敷を訪れたミナトたち一行は初めましての人物に出会うことになる。
「貴殿がミナト殿か……、そしてあなた達がミナト殿が率いる『竜を
そう言いつつミナトとの距離を詰めてくるのは遠征用の騎士服に身を包んだ男性。穏やかな表情とキッチリと撫で付けた髪に眼鏡を身につけているその様子は文官のような雰囲気を纏っているが、ミナトはその細身の身体が随分と鍛え込まれていることと、その身が内包する魔力を見逃さない。
『この人って結構強いよね……。それにウッドヴィル公爵家の現当主であるライナルトさんを君付けで……。ということは……?』
そんなことを考えていると、
「初めまして。このバウマン辺境伯領を預かっていますフレデリック=バウマンです」
その言葉と共に右手が差し出されるのであった。
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