第506話 辺境伯領へ至る街道にて
ブルードラゴンの里での宴を存分に楽しみ、ナタリア、オリヴィア、ロビン、ファーマーさんたちは王都へと帰還した。
一応、冒険者として依頼の遂行中ということで夜は各自ぐっすりと眠ることができた。
「お城にいる時にお相手して頂きます〜」
「……私も可愛がって頂きます」
「我輩はファーマー殿と『
微笑むナタリア、シッポを揺らすオリヴィア、胸に手を当てるロビンが別れ際にそう言っていたので帰ったら大変そうだが今は考えないことにしたミナト。
「英雄どいうのも大変だね……」
ファーマーさんがしみじみと呟きながら
色々とあったのだが、さらにあと一日ある休息日についてミナトはアクアパレスの街で過ごすことにした。シャーロット、デボラ、ミオ、ピエールを連れてアクアパレスの街のカフェでスイーツとコーヒーを楽しみ、旅のための食材などを購入して過ごしたのである。
そうして出発の日、快晴の空の下、アクアパレスにあるウッドヴィル邸の中庭で、
「諸君!よく集まってくれた!それではバウマン辺境伯領へ向け出立する!」
この一団を率いるウッドヴィル家の女性騎士であるカーラ=ベオーザの勇ましい声が響く。
騎士、ポーター、馬車、そして冒険者であるティーニュとミナトたちからなる一行はウッドヴィル家の領都であるアクアパレスを出立し、バウマン辺境伯領の領都であるイースタニアを目指すのであった。
バウマン辺境伯領の領都であるイースタニアまで約十日という道のりは一応のところは滞りなく進む。
ウッドヴィル公爵領とバウマン辺境伯領は貴族間だけでなく、さまざまな交流があるとのことで広い街道が整備され、多くの商隊やそれの護衛を引き受けた冒険者達も多く見られた。
魔物は定期的に駆除されており野盗といった類も騎士が巡回して警戒にあたっているという。
宿場町のようなところもあり、野営に適した広場も街道沿いに設けられていることからかなり安全な旅ができるルートになっていると思われた。
そんな道中、ちょうどアクアパレスを発って五日目のこと……,
『ミナト……、気づいている?』
『ああ、昨日の野営地からかな……?夕食のシチューに釣られた連中かと思ったけど……』
シャーロットからの念話にそう答えると、
『うむ。商人や冒険者ではないな。独特の気配を感じたぞ?』
『ん。まだ敵意は感じないけど何か変!』
『何者でしょウ?』
デボラ、ミオ、外套になっているピエールからも念話が返ってくる。
ミナトたちの索敵能力にウッドヴィル家の一行から一定の距離を保って気配を押し殺しつつついてくる連中が引っかかったのであった。
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