第504話 美味しいお酒を使うカクテル
「これがずっと造りたいって言っていたサイドカーなのね……。頂くわ!」
「うむ。頂こう!」
「ん!頂きます!」
「頂きますわ!」
シャーロット、デボラ、ミオ、ナタリアがグラスを掲げ、
「私も頂きます」
「頂きまス〜」
「我輩も頂くとしよう!」
オリヴィア、いつのまにか幼女の姿になったピエール、そしてロビンもそれに倣い、
「
ファーマーさんもグラスを掲げる。
そして一同がブラウンに輝くサイドカーを口へと運ぶ。
「これは美味しいカクテルだわ。ブランデーの味わいにオレンジの香りと柑橘の酸味が加わって……」
「うむ。素晴らしいカクテルだ!酒精は強いはずなのだが、とてもさっぱりと飲みやすい」
「ん!甘酸っぱくて美味しい!」
「ブランデーと柑橘の組み合わせは素晴らしい相性と言えますね」
シャーロット、デボラ、ミオ、ナタリアがそう言ってくる。
「これも素晴らしい味わいです。この飲みやすさは女性のお客様に好まれるカクテルということですね」
最近、カウンターに立つことを目標にしているらしいオリヴィアがそう言ってくる。
「甘くて酸っぱくて美味しいデス〜」
「これはよい味わいだが飲みすぎてしまう味だな!美味い上にスルスルと飲めてしまう」
ピエールにもロビンにも好評らしい。
「いやはや……、こった飲み物さ出会うごどがでぎるどは……、長生ぎはするものだね。そしてダンジョンの外さ出るごどがでぎる喜びこのカクテル心さ刻んでぐれあん」
ファーマーさんが感動しているためか、目の端に光るものを浮かべている。どうやら本当に美味しかったらしい。
『ブランデーを気に入ってくれるならお土産にしてもらおうかな?』
ファーマーさんだけはミナトの城ではなく自身のダンジョンで生活しているためそんなことを考えるミナト。
『あ……、ブランデーが手に入って、ファーマーさんのところにシャルトリューズがある……、ビターズもあるから……、おお!シャンゼリゼも造れるんだ……』
ミナトが新たなカクテルが造れることを心の中で確認して感動していると、
「ミナト!サイドカー、本当に美味しいわ!」
シャーロットがそう言って来る。
「そう言ってくれて嬉しいよ。でもサイドカーが美味しいのは当然と言われれば当然なんだけどね……」
「「「??」」」
ミナトの言葉に絶世の美女たちとダンディかつ戦闘狂っぽい神父が首を傾げる。
「サイドカーが美味しいのは当然なの?」
そう繰り返すシャーロットに頷くミナト。
「シンプルなカクテルだから造り手によって味が変わるから難しいカクテルであることは間違いないんだけど……、えっと、前にカクテルが造られるようになった理由みたいなことを話したじゃない?」
ミナトの言葉にシャーロットがその話を思い出したようで、
「確かミナトのいた世界で、過去……、昔は飲みにくい、もしくはあまり美味しくないお酒が多くてそういったお酒を美味しく飲めるように工夫したのがカクテルの最初ってお話しだったかしら?」
「そう!諸説あるとは思うんだけど、おれはカクテルの最初はその辺りからなんじゃないかと思っている。その話を前提にするとさ……、ブランデーってそのまま飲むのが一般的な美味しいお酒なんだよね……」
あはは……、っと笑いつつミナトがそう答える。
「うむ。なるほど、最初から美味いブランデーを使っているからサイドカーが美味しいカクテルになるのは至極当然ということか……?」
デボラがそう言ってくれる。
「そうなるかな?でも美味しいお酒を使ったカクテルって本当に美味しいんだよね。この世界ではバーボンとかライ・ウイスキーとかスコッチって分類はウイスキーを全部アースドラゴンの里で造ってもらっているからちょっと難しいけど、前にいた世界ではスコッチを使うロブ・ロイとかで美味しいからカクテルに使わないようなスコッチを使うとびっくりするくらい美味しいロブ・ロイになったりしたんだよね……」
そんなことを言っていると全員の視線がミナトへと集中する。
「ミナト!そのカクテルはこっちでは造れないの?」
「うむ。ウイスキーを変えることで味わいが変わるというのは分かる気がするが、我はまだそこまでの経験はできていないぞ?」
「ん!興味深い!」
「あらあら〜?もっと真剣にウイスキー造りに取り組む必要がありそうですね〜」
シャーロットたち夫人軍団の圧がスゴい。
「私もその味わいの違いというものを体験したいですマスター!」
「どれも美味しそうデス〜」
「我輩もそんなカクテルを味わいたいものであるな!」
オリヴィア、ピエール、ロビンといった愛人枠の皆さんも興味津々のようだ。
「
ファーマーさんまで乗り気なようだ。
さらにその背後から各種のドラゴンさん達の熱い視線まで感じる。
とりあえずアースドラゴンが造っているウイスキーの種類をこれまで以上に詳細に確認しようと思うミナトであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます