第494話 出発の朝
あれから一週間……、今日も王都には雲一つない青空が広がっている。早朝ではあるが陽光は暖かみを帯びており季節は確実に春本番へと向かっていた。
そんな王都にあるミナトのBar。お店は今日からお休みで店内にはミナト、シャーロット、デボラ、ミオ、オリヴィア、ナタリア、ピエール、ロビンが集まっている。
出立の日取りはミナトの想定よりもかなり早いものとなった。集合場所はいつもの如く王都あるウッドヴィル公爵邸。ミナトたちは出立前の最終確認のためにここに集まっている。
「よし……、Tシャツにジーンズなんて久しぶりだ。
携行品と装備を確認し終わるミナト。今日のミナトはグレーに染められた綿のTシャツにデニムを思わせるような藍色に染色され厚めに織られた綿の生地で作られたパンツを履いている。これはこの春に登場した新作の生地とのことでかなり丈夫な生地であることから冒険者などに人気が出始めていた。ボタンフライでありリベットなどは無いものの見た目はまさにジーンズといった装いに速攻で購入したミナトであった。既に自身の標準装備として心の中では認定済みである。
「ミナト!私たちも準備完了よ!」
そう言ってくるのはシャーロット。春仕様の淡いグリーンを基調にした魔道士風のローブに今年登場したデニムによく似た生地で作られたショートパンツという装いだ。フードをかぶってこちらに笑いかけているが、フード如きではシャーロットの美貌を隠すことができていない。
「うむ。集合場所はウッドヴィル公爵家の屋敷であったな?」
デボラはいつもながらの紅を基調とした民族衣装風の装いである。春という季節を考慮してのことかは分からないが今日のスリットは気持ち控えめではある。だが高い腰と見事に張ったバストとヒップによる艶やかな曲線とスリットからチラリと覗く脚線美は色々と攻撃力がモノ凄い。
「ん。れっつごー!」
そういうミオは青を基調としたデボラと基本的にはよく似たデザインの民族衣装風の装いだ。とても可愛らしい姿ではあるのだがこの民族衣装がエキゾチックな雰囲気を醸し出し可憐な少女の姿であるはずのミオに大人の魅力が足されている。端的に言って可愛らしく美しかった。
「留守の間はお任せください〜」
「お帰りをお待ちしております」
「ご武運を!」
ナタリア、オリヴィア、ロビンが見送りに出てくれる。早朝のこの時間帯、歓楽街には人通りが全くない。歓楽街が動き出すのはもう少し太陽が高くなってからである。
「行きますか……、ピエール!お願い!」
「ハーーイ!」
その言葉と共にミナトにピエールがギュギュルと纏わりつく。そうして、
「完成でス〜!」
漆黒の
「じゃ!行ってきます!」
「あとはお願いね?」
「うむ。我らの留守を頼んだぞ!」
「ん。お土産に期待して!」
そうしてミナトは集合場所のウッドヴィル公爵家へと向かうのであった。
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