第413話 王都の冒険者ギルドへ
「うーん。今朝も寒い……。でも冬の青空は気持ちがイイ!」
美味しい晩御飯を楽しんだ翌日の朝、冒険者ギルドからの書状がBarへと届いた。そのためミナトは冒険者ギルドを目指している。いつものように差出人は受付嬢をしているカレンさんで、時間があれば午前中に冒険者ギルドに顔を出してほしいという内容だった。
基本的に冒険者ギルドが冒険者を強制的に動かすことができるのは指名依頼を出すしかない。
指名依頼はC級以上の冒険者が対象となる依頼方法で、依頼主が冒険者やパーティを名指しで指名する形で行われる依頼である。旅の護衛といった依頼主との信頼関係が重要な依頼で使われることが多く、依頼金額も通常より高くなる。
ちなみに冒険者の階級はS級からF級までの七つの階級に分かれており、それぞれ冒険者証となるプレートの色で区別される。
S級冒険者:
A級冒険者:金、超一流…この国にほんの僅か
(以上の冒険者は滅多に遭遇することが出来ない)
B級冒険者:銀、一流…この国に数人
C級冒険者:銅、上級…この国に数十人
D級冒険者:鉄、普通…この国に数百人
E級冒険者:青、見習い…多すぎて計測不能
F級冒険者:赤、初心者…多すぎて計測不能
ミナトはF級冒険者であるため特に冒険者ギルドから何かを強制されることはないのだが、受付嬢のカレンさんには大森林で絶対不可能と思える強力かつ高額の魔物の狩った際の内密な引き取りなど何かとお世話になっているので、カレンさんからのお願いは可能な限り対応することをシャーロットたちと決めていた。
そうして抜けるような冬の青空の下、雪の積もった街中を冒険者ギルドへと歩みを進めるミナト。王都の朝は早い。マルシェと呼ばれる市場などで早朝から開かれるところは朝から住民で賑わっていたりする。
ちょうどマルシェが開かれている横道に差し掛かり様子を窺うと、乳製品、魔物の肉、魚介類、そして野菜を扱う店などが出店しておりなかなかに賑わっている。ちょっと覗いてみることにするミナト。
聞いてみると乳製品は王都近郊の牧場から運ばれるミルクを使用して王都内で生産されているとのことだ。冬で街道は使えないが牧場までの道のりは冒険者などに依頼を出してルートを確保しているらしい。試食をさせてもらいコンテと呼ばれるチーズに近いセミハードタイプがあったので購入したミナト。
魔物の肉は近郊のダンジョンや王都の東にある大森林で冒険者が獲ってきたもので、魚介類は王都から大河ナブールまで続く運河による水運で運んできたものだそうだ。この冬の時期に魚介類が入手できる王都の食事情は恵まれているということになるらしい。
野菜は秋に採れた野菜を雪の下で保存していたものだそうだ。グランヴェスタ共和国では魔道具が使われていたが、ここで売っている野菜は高く売れるこの時期まで保存しておいたものだろう。ニンジンとキャベツに似た野菜があったので購入するミナト。肉類は購入していないが頭の中にはポトフが出来上がっていたりしている。
購入したものを人目につかない路地の影で【収納魔法】の
そうして冒険者ギルドに到着する。大きな扉を開けてホールに入ると既に朝の依頼争奪戦は終わったのかギルド内の雰囲気は落ち着いていた。
「ミナトさん!冒険者ギルドへようこそ!」
「マスター!本日は宜しくお願いする」
ミナトを待っていたのはいつもの笑顔を浮かべている受付嬢のカレンさんと、漆黒のドレスを纏った黒髪で長髪の美女……、つぶらな紅い瞳と白い艶やかな肌にスラリとした美しいスタイルをしたロビンであった。
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