第388話 やっぱりステータスを確認します
「ふふふ……、やっぱり楽しみよね?オリヴィアの時と同じだと種族はそのまま、保有魔法は増えないと思うけど……、ステータス!オープン!!」
シャーロットの美しい声が響き、それと同時にミナトの前に透明なプレートが出現する。そこには次のような表示があった。
【名 前】 ミナト・ホシノ
【年 齢】 二十一
【種 族】 まだギリ人族
【攻撃力】 一〇〇
【防御力】 一〇〇
【俊敏性】 一二〇
【保有スキル】 泰然自若 火竜を
白狼王の飼い主 暴食王の飼い主 暗黒騎士の主君
【保有魔法】 闇魔法 Lv.MAX
転移魔法 Lv.SP
眷属魔法 Lv.SP
収納魔法 Lv.SP
重力魔法 Lv.SP
「……確かに種族はそのままで保有魔法は増えていない……」
種族の表示にはいろいろと言いたいこともあるのだが、ここはグッと堪えて念のために眷属魔法の詳細を確認する。
眷属魔法
と増えてはいなかった……。
種族と保有魔法……、とりあえずその二点を確認し胸を撫で下ろすミナト。
だが、
「やっぱりここが増えている……」
視線を上げて注目するのは【保有スキル】の欄。きちんと一つ増えており、新しいスキル名が視界へと飛び込んでくる。
「ミナト?ふふ……、どう?」
「うむ。【保有スキル】が増えたのであろう?」
「ん。きっともっと強くなった」
「あらあら~。マスターはどこまで強くなるのかしら~」
「マスターが新しい力を手に入れることは非常に喜ばしいことです!」
「マスターは強くなりましたカ?」
シャーロット、デボラ、ミオ、ナタリア、オリヴィア、ピエールの六人が興味津々の様子でニコニコ顔を浮かべて近付いてくる。ちなみにロビンはミナトの傍らで静かに佇んでいた。
「みんな……。これがおれのステータスデス……」
いつものように観念したミナトがそう言って彼女たちがステータス画面を覗き込む。
「やっぱり保有スキルが増えているわね。今回は『暗黒騎士の主君』ね。やっぱり聞いたことがないスキルだわ。これも恐らくこの世界に初めて現れたスキルだと思う」
「うむ。二千年前の魔王はそのようなスキルは持っていなかったはずだ」
「ん。強制的に支配下に置くのとマスターのテイムは全くの別物!」
「非常に興味深いスキルですね~」
「どのようなスキルなのでしょう?」
「カッコイイ名前でス~」
そう感想を言ってくる絶世の美女たち。
「ミナト!詳細を見てみましょう?」
シャーロットにそう促されてミナトはステータスが表示されているプレートの【保有スキル】に触れた。途端に画面が展開される。
【保有スキル】泰然自若:
落ち着いて、どの様な事にも動じないさまを体現できるスキル。どのようなお客様が来店してもいつも通りの接客態度でおもてなしすることを可能にする。
【保有スキル】火竜を饗する者:
火竜を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
眷属化した火竜の能力も限定的に使用可能。
火竜を
テイムスキル【火竜を統べる者】の上位互換。
【保有スキル】水竜を饗する者:
水竜を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
眷属化した水竜の能力も限定的に使用可能。
水竜を
テイムスキル【水竜を統べる者】の上位互換。
【保有スキル】白狼王の飼い主:
白狼を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
身体強化魔法の性能を圧倒的に向上させる。上限はなし。強化の度合いは任意。
強化しすぎると人族では肉体が瓦解する危険があるので注意。
種族が人族であるときは気を付けましょう。
【保有スキル】暴食王の飼い主:
エンシェントスライムを自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
肉体的な変化はありませんが、進化したエンシェントスライムがあなたの相棒として意のままに行動します。
ドラゴンでも始末に負えないとされる最強のスライム、さらにその進化版を自在に操るという凄まじさと楽しさをその身で体感してください。
非常に強力なスキルの詳細が目に飛び込んでくる。【保有スキル】暴食王の飼い主などは先日の王家がらみの依頼の際、凄まじく有用であったことは間違いない。だがここまではよく知っている内容であって問題はその下にある。
【保有スキル】暗黒騎士の主君:
あ、人族である場合は身体強化をお忘れなく。非常に苛烈な剣技のため自身の身体が保てない恐れがあります。
「えっと……、剣が使えるようになった……?でもこれってヤバい剣技なんじゃ……、自身の身体が保てない恐れがある苛烈な剛剣ってどんな剣なんだ?」
ミナトの戦闘は基本的に……、というか圧倒的に魔法が中心である。物理攻撃としてはシャーロットから教えて貰ったエルフに伝わるという護身用の剣技が少し使える。幅広の短剣というか最後のファンタジーなゲームでディフェンダーと呼ばれるような剣を使って相手の攻撃を受け流す剣技だ。攻撃をそうやって回避できればあとはミナトの魔法でどうにでもなるという考え方である。ただ、武器を使って回避できる攻撃であれば【闇魔法】の
「剣技を習得したのね。今度の狩りで使ってみましょう!」
シャーロットはそう言ってくるが、
「いやいや……、絶対アブナイ剣技じゃないこれ?」
少しだけ抵抗を試みるミナト。
「大丈夫!私たちがいて危ないことなんて存在しないわ!」
きっぱりと断言される。シャーロットの言葉にデボラ、ミオ、ナタリア、オリヴィア、ピエール、ロビンが頷く。
「それはそうなんだけどね……」
ミナトがこの大陸に覇を唱えたらあっという間に実現してしまいそうな面々にそう返すしかない。
「うむ。剣技か!マスターの魔法も素晴らしいが剣技もまた素晴らしいと見たぞ!」
「ん。きっとカッコいい!」
「あらあら~?それは是非とも模擬戦をさせて頂きたいです~」
「模擬戦ですか?私もこの爪でお手伝いできるかと……」
「防御はワタシがいるから問題ありませン~」
「模擬戦であれば吾輩もお手伝いができるというものだ!」
ナタリア以下のメンバーがどうも好戦的である。その瞳はミナトが習得した剣技への興味で輝いているようだ。そしてその期待への圧がスゴイ……。
「オ、オテヤワラカニオネガイシマス……」
押し切られるようにカタコトでそう答えるミナト。
『冒険者ギルドに併設されている練武場だと……、怒られるかな……?』
そんなことを考えるミナトであった。
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