第363話 全員集合!

「あれ?」

「うむ?」

「ん?」

「あらあら~?」

「ここは……?」

 ふよふよ……。


 ミナトによる眷属転移テレポによって生み出された六つの光から現れたのは五人の美女と虹色のスライム。


『あ、シャーロットも来てくれた……』


 ミナトがそんな感想を持ったのは秘密である。


「ミナトがんだの?ここって……」


 圧倒的な美貌を湛えるエルフのシャーロットが辺りを見渡しながら言ってくる。


「うむ。ダンジョンであろうな……」


 真紅のロングヘアーに切れ長の目、それに抜群のプロポーションを誇るデボラが言うと、


「ん。ここはダンジョン!」


 透き通るような青い瞳と青い髪、透明感と可愛らしさを極限まで高めたかのような容姿をしているミオがデボラの言葉を肯定する。


「あらあら~?状況はあまりよくないようですね~」


 長身とダイナマイトな肢体をベージュのエプロンドレスの下に隠し茶色の長髪を靡かせるナタリアが右手を頬に当てつつそう呟いた。


「どうしてこのような場所にマスターが?」


 いつもながらの執事風な装いに白い髪、凛々しいとも表現できる中性的な美しさを湛えたオリヴィアもそう言ってくる。


『マスター!こんにちはでス~』


 ピエールがマイペースにふよふよと揺れていた。


「みんな!いきなりび出して申し訳ない!手を貸してほしいんだ!遠距離から瞬間移動で攻撃を仕掛けてくる蜘蛛の魔物に冒険者達が襲われている!おれでは彼等を護り切れない!」


 ミナトの言葉に全員が素早く反応した。


「冒険者達に張り付くような結界を張るわ!これで瞬間移動しても結界の内側に入ってくることはない筈よ!」


「うむ。ではこの状況は瞬間移動のクールタイムというやつだな?次に姿を見せた時は我が燃やそう!」


「ん。ボクは冒険者を助ける!」


「マスター?お預けしている剣をわたくしに!わたくしも蜘蛛の殲滅に参加しますわ!」


「私もこの爪で蜘蛛を引き裂きます!」


『マスターの防御力あっぷしまス!』


 シャーロットが結界を、デボラとナタリアとオリヴィアで蜘蛛への攻撃を、ミオが治癒魔法で冒険者の治療をしてくれるようだ。


 ピエールはその姿を変え現在ミナトが装備していた外套マントと入れ替わる。それと同時にミナトが【収納魔法】である収納レポノを使って亜空間に保管していた鉄塊……、ではなく刃長りは三メートル以上、身幅も一メートル以上もある大剣を取り出す。ナタリアは軽々とその大剣を肩に担いだ。そしてナタリアとピエール以外のメンバーからは濃厚な魔力が溢れ出す。


 唯一、立ったまま蜘蛛からの攻撃に耐えていたB級冒険者パーティ『鉄の意志アイアン・ウィル』のリーダーであるウィルはその光景に絶句している。


「ミナト!瞬間移動できる蜘蛛ってデス・スパイダー系の魔物よね?なんでそんな魔物がいる物騒なダンジョンにミナトがいるのか、後できちんと聞かせて貰うわよ!?」


 結界を張り終わりこちらの臨戦態勢が整ったことを確認したシャーロットがそんなことを言ってきた。


「ス、スミマセン……」


 項垂れつつ素直にそう答えるミナトであるが【闇魔法】の用意は怠らない。そんなミナトたちの横ではミオが次々と冒険者達に治癒魔法をかけている。あっという間に冒険者の傷が塞がっていくが意識を取り戻すわけではないようだ。


「ミ、ミナトさん……。そろそろ奴らが来る頃だ……」


 絶句していたウィルが思い出したかのようにそう言ってきた時……、巨大な蜘蛛が今度は二体、その姿を現わすが……、


「ふん!」

「そこですわ!」


 二人の声と同時に、一体目の蜘蛛はデボラの炎に包まれ、二体目はナタリアが担いでいた鉄塊のような大剣で十文字に両断される。


「切り裂きます!」


 そして燃やされ、斬られた二体の蜘蛛はオリヴィアの爪によってその原形を留めない程のバラバラにされるのであった。

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