第350話 ピエールの出番!
ミナトの視界は黒鉄騎士団十名、その騎士団と共にいるB級冒険者パーティ『
「き、貴様はギルドが送り込んだF級冒険者!なんだ!?なんなのだ?その鎖は!?魔法?魔法なのか!?」
女性近衛騎士に拘束させていた筈の王女をいきなり奪われた黒鉄騎士団の騎士団長がそう喚き散らす。まるで生き物のようにうにょうにょと有機的に蠢く漆黒の鎖がとてつもなく器用に近衛騎士を打ち倒し王女をかっ攫う光景を目の当りにして騎士団員達も咄嗟に動くことができず呆然としている。
『ピエール!ティーニュさんの動きを阻害している魔道具の位置は?』
『スデニ確認済みでス。ディレインの足元、隠蔽されていますガ、既に下に分裂体が潜んでいまス』
ピエールからの念話の返信と同時にディレインの足元に微量な魔力反応を感じるミナト。
『破壊してくれ!』
『ワカリマシタ!』
ブッシュウウウウウウウウウウウ!
突然、ディレインの足元から勢いよく煙が吹き上がる。エンシェントスライムの分裂体がその酸によって魔道具を破壊したのだ。動けるようなったことに気付いたティーニュが、
「身体強化……、全開!」
そう呟いてディレイン達『白銀の鈴風』との距離を詰めるのと、
「
瞬く間にディレオンの背後へと移動したティーニュは魔法と共に三度メイスを振るい、『白銀の鈴風』のメンバーであるB級冒険者三名をあっという間に吹き飛ばされダンジョンの壁面に激突する。激突した全員の腕や足や首が変な方向に曲がっている。もはや動くことは出来そうもない。
「このような卑劣な計画に加担するなど……、恥を知りなさい!」
「ふふ……。この私に勝てますか?」
ティーニュが未だにニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべているディレインに向かってメイスを構える。
「こ、『
我に返った黒鉄騎士団の団長が慌てて指示を飛ばす。その指示で騎士団員も『
「お前達の相手は彼女がする。ま、楽しんでくれ!」
ミナトが黒鉄騎士団と『
『ワタシの出番でス~!』
直径十メートルを超える巨大な虹色の球体が天井から降ってきてた。黒鉄騎士団と『
ふよん。その虹色の球体が揺れた。
「こ、これは……?」
「なんと巨大な……。ま、魔物なのか……?」
「ス、スライムなのか……?」
突然、目の前に現れた巨大な魔物に狼狽える黒鉄騎士団。そんな騎士団員に対して『
「お、おい……」
「ま、まさか……、まさか……、まさか……」
「うそだろ……」
「ヤバいぞ……」
「お前達……、分かってるな?後退しろ。ゆっくりだぞ……」
顔色が青を通り越して土色になっている五人がゆっくりと後退を始める。
「お前達!何故後退する!こんな魔物など恐れるに足らん!総員!構えろ!」
騎士団長が声を荒げて手にした長剣を上段に振りかぶる、騎士団員がそれに続いて虹色の球体へと攻撃を行うが、
「ダメだ!大将!こいつはエンシェントスライムだ!刺激をするんじゃない!」
残念ながら『
「バ、バカな!わ、私の腕!腕と足がああああああ!」
「「「「「ぎいぃやあああああああああああああああああ!」」」」」
騎士団長と騎士団五人が絶叫と共に地面をのた打ち回る。あっという間の惨劇に残された黒鉄騎士団も『
『分裂体!よろしク!』
ピエールの合図で周囲を取り囲んで擬態していた無数の分裂体がその虹色の姿を現わす。エンシェントスライムの群れに囲まれる形となった残された黒鉄騎士団と『
「ティーニュさん?その冒険者を任せても?」
「もちろんです!お任せください!」
ミナトの言葉を受けティーニュはディレインへの攻撃を開始する。ミナトの漆黒の鎖が彼の【闇魔法】により巧妙に隠蔽された状態で『白銀の鈴風』のメンバー四人の首に巻き付けられていることは秘密であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます