第181話 ステータスの確認は大事です
「シャーロット…」
淡い光に包まれるフェンリルを前にしてミナトは遠い目をしながらシャーロットに問いかける。
「どうやらフェンリルもテイムしたみたいね!すごいわ。世界の属性を司るドラゴンは数が多いから、個別で従魔契約をしたケースは過去にもあったけど、フェンリルがテイムされたことは一度もなかったと思うわ」
「我らレッドドラゴンとミオたちブルードラゴンに加えてフェンリルとは…」
「ん!さすが!」
美女三人はそんなことを言ってくれるのだが…、
「フフフ…、ミナト…、あなた名乗っていないだけで、もう確実に…、ぷぷぷ…。凄いわね?」
続けてシャーロットにそんなことを言われてグッタリと項垂れるミナト。心ではしくしくと涙が流れているような気がする。
「この光は…?そしてこの感じは…?魔力が…?」
一方、フェンリルはというと光に包まれながらそう呟いていた。
「あー、やっぱり…」
ミナトはそういうのが精一杯のようだ。この現象はミナトがレッドドラゴンをテイムした際に得た【眷属魔法】
【眷属魔法】
極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。眷属化した存在を強化する。眷属を確認して自動発動。強化は一度のみ。実は強化の度合いが圧倒的なので種を超越した存在になる可能性が…。
ミナトは気力を振り絞ってシャーロットへと顔を向ける。ステータスを確認しなくてはいけないのだ。
「シャーロット…、おれのステータスは…?」
「ふふふ…、楽しみね!ステータス!オープン!!」
美しい声が響き、それと同時にミナトの前に透明なプレートが出現した。そこには次のような表示があった。
【名 前】 ミナト・ホシノ
【年 齢】 二十一
【種 族】 人族かな?
【攻撃力】 一〇〇
【防御力】 一〇〇
【俊敏性】 一二〇
【保有スキル】 泰然自若 火竜を
【保有魔法】 闇魔法 Lv.MAX
転移魔法 Lv.SP
眷属魔法 Lv.SP
収納魔法 Lv.SP
「……よかった…、保有魔法は増えていない…」
真っ先に【保有魔法】の欄を見て思わずそう呟く。念のため眷属魔法の内容を確認したが、
眷属魔法
と増えてはいなかった……。だが、
「やっぱりよくない!」
視線を上げて【保有スキル】の欄に目をやった時、新しいスキルが視界に飛び込んできた。
「ミナト?ふふ…、どうだった?」
シャーロット、デボラ、ミオの三人はミナトのステータスに興味津々のようだ。ニコニコ顔で近付いてくる。
「みんな…。おれのステータス…、見る…?」
観念したミナトからそう言われたのでシャーロット、デボラ、ミオの三人は笑顔でステータス画面を覗き込んだ。
「保有スキルが増えているわね。今回は『白狼王の飼い主』…。これも聞いたことがないスキルだわ。恐らくこの世界に初めて現れたスキルだと思う」
「【種族】と【保有魔法】に変化がないのだな。これは我らのようなドラゴンをテイムした場合のみに変化するのか…?」
「ん。この新しい【保有スキル】は興味深い!」
口々に感想を言ってくる絶世の美女たち。
「ミナト!前と同じようにスキルの詳細も見てみましょう!」
そう促されてミナトはステータスが表示されているプレートの【保有スキル】に触れた。途端に画面が展開される。
【保有スキル】泰然自若:
落ち着いて、どの様な事にも動じないさまを体現できるスキル。どのようなお客様が来店してもいつも通りの接客態度でおもてなしすることを可能にする。
【保有スキル】火竜を饗する者:
火竜を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
眷属化した火竜の能力も限定的に使用可能。
火竜を
テイムスキル【火竜を統べる者】の上位互換。
【保有スキル】水竜を饗する者:
水竜を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
眷属化した水竜の能力も限定的に使用可能。
水竜を
テイムスキル【水竜を統べる者】の上位互換。
【保有スキル】白狼王の飼い主:
白狼を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
身体強化魔法の性能を圧倒的に向上させる。上限はなし。強化の度合いは任意。
強化しすぎると人族では肉体が瓦解する危険があるので注意。
種族が人族であるときは気を付けましょう。
「これもヤバい…、間違いなくぶっ壊れスキルだ…」
身体強化の魔法はシャーロットから教えて貰ったのでミナトは使うことができる。その強化に関して上限がなくなるスキルのようだ。
「ちょっと使い方が難しいけど身体強化の魔法は有用よ。だから上手く使えば強力なスキルってやつ」
シャーロットの言う通りだとミナトは思うが、それよりも気になる記述がある。
「シャーロット…、これ…、種族が人族であるときは…、って…」
ミナトの言葉にシャーロットは満面の笑みになる。
「大丈夫よ!世界の属性を司るドラゴンはあと四種いるわ。最後にどうなるか楽しみね?」
何が大丈夫なのか分からないミナトであるが、とりあえず順調に人族を超え始めているという事実を改めて認識するのであった。
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