第168話 到着!オルフォーレの街

「ふう…、やっと着いた…。ここが国境の街か…」


 ミナトが背伸びをする。時刻は丁度正午といったところ…。ミナトたちはとりあえずの目的地に到着していた。


「マスター!我かミオが飛べばあっという間だったのだがこれでよかったのか?」


「ん。こんな距離は楽勝!」


 デボラとミオがそんなことを言ってくる。


「徒歩の旅ってそれはそれでいいものなのよ?ミナトの料理とカクテルは美味しかったでしょ?」


「確かに…。旅の最中さなかにマスターの料理やカクテルを頂くというのは王都で頂くのとは異なる素晴らしい趣向であったことは我も認めるところだが…」


「ん!野営でのマスターの料理とカクテルは美味しく楽しかった!それに関してはボクも賛成!」


 シャーロットの言葉にデボラとミオもこれまでの道中に関して一定の賛同を示す。


「帰りはデボラかミオに乗せてもらうか【転移魔法】の転移テレポを使う予定だからね」


 ミナトは皆にそう言ってたった今到着した街の景観へと視線を移す。


 ここはルガリア王国の北西、グランヴェスタ共和国との国境となるオルフォーレの街。冒険者ギルドのカレンさんによるとルガリア王国からグランヴェスタ共和国への入国ルートはいくつかあるらしいがここオルフォーレの街からグランヴェスタ共和国領へ入国し山脈に造られた街道を越えるというのが最も一般的だというのでミナトはそのルートを選択した。


 アルカンとバルカンから話を聞いて後、今日でほぼ一カ月。馬車を乗り継ぐと一月半はかかるということだったのだが、身体強化の魔法が使えるミナトたちは徒歩を選択し馬車よりも速いペースでこれまでの道のりを進んできたのである。


 季節な本格的に秋。昼間こそ太陽が昇れば暑いと感じる風は夏よりも確実に涼しく、朝晩は結構冷えるようになってきた。


 長旅をしてきた筈なのだがミナト、シャーロット、デボラ、ミオの装いは極めて軽装だ。


 ミナトは革製の靴、ジーンズによく似た濃紺に染められた綿製のパンツに革のベルト、リネンで編まれた長袖のシャツの袖を捲って半袖としている。冒険者と呼ぶこともできない一般人な装いそのままであった。


 シャーロットは冒険へと臨む際のいつもの装いというやつで、ブーツ、レギンス、ショートパンツ、そして動きやすそうな上着の上からフード付きのローブを羽織っている。大森林でミナトと初めで出会った時とほぼ同じ旅の魔法使いの一般的な服装というやつだ。平凡な服装に見えるのだがやはり美しい。デボラはいつもの如く赤を基調にした民族衣装風の装いで、ミオはそれと似たデザインである青を基調とした民族衣装風の装いである。当然、デボラは美しく、ミオは可愛らしい。やはり三人とも魅力的であると感じるミナトであった。


 荷物はシャーロットのマジックバッグとミナトがミオと出会ったことで会得した【収納魔法】の収納レポノが大活躍している。


【収納魔法】収納レポノ

 時空間に作用し、アイテムの収納、保存を可能にする術者が管理できる亜空間を作り出します。アイテムを出し入れするゲートは術者を中心とした半径二メートル以内で任意の場所に複数を設置可能。時間経過なし。意思・意識のある生物に関しては収納に本人の同意が必要、ただし亜空間内は快適ではないのでご注意を。亜空間はとても大きいのでご自身でのご確認をお願いします。ちなみにゲートから武器を射出するような運用も可能だったりします。かなりの威力です。攻撃もできた方がカッコいいでしょ?


 道中で消費する食料やお酒を王都で大量に収納したのだがまだまだ限界は感じられない。いつかは限界を確かめようとはミナトも考えている。


「さあ、オルフォーレの街に着いたし、カレンさんが教えてくれたこの街の名物というやつを頂いてみようか?」


「「「賛成!!」」」


 ミナトはカレンさんから貰ったメモを見つつ、とびっきりの美女三人を引き連れて目指す食堂へと移動を開始する。周囲からの刺すような嫉妬の視線に気付くこともなく…。

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