第143話 ステータスの再確認を2

 ミナトはステータスが表示されているプレートの【保有魔法】に触れた。先程と同様に画面が展開される。



闇魔法 Lv.MAX:

 冥獄炎呪ヘルファイア悪夢の監獄ナイトメアジェイル堕ちる者デッドリードライブ絶対霊体化インビジブルレイス


転移魔法 Lv.SP特異的に獲得

 転移テレポ眷属転移テレポ


眷属魔法 Lv.SP特異的に獲得

 眷属強化マックスオーバードライブ火竜の息吹ファイアブレス水竜の息吹アクアブレス


収納魔法 Lv.SP特異的に獲得

 収納レポノ



「きちんと増えてる…」


 思わずそう呟いた。とりあえずミナトは以前も見た闇魔法の部分から触れて情報を展開することにする。



【闇魔法】冥獄炎呪ヘルファイア

 全てを燃やし尽くす地獄の業火を呼び出します。着火と消火は発動者のみ可。火力の調節は自由自在。ホットカクテル作りやバゲットの温め直しなど多岐にわたって利用できます。素敵なアイリッシュコーヒーがお客様を待っている!?



【闇魔法】悪夢の監獄ナイトメアジェイル

 ありとあらゆるものが拘束可能である漆黒の鎖を呼び出します。拘束時の追加効果として【スキル無効】【魔法行使不可】付き。飲んで暴れる高位冒険者もこれがあれば一発確保!



【闇魔法】堕ちる者デッドリードライブ

 至高のデバフ魔法。対象の能力を一時的に低下させます。低下の度合いは発動者任意。追加効果として【リラックス極大】【アルコール志向】付き。お客様に究極のリラックス空間を提供できます。



【闇魔法】絶対霊体化インビジブルレイス

 全ての音や生命反応を感知不能にする透明化に加えて霊体レイス化を施せる究極の隠蔽魔法。対象は発動者と発動者に触れておりかつ発動者が指定した存在。発動と解除は任意、ただし魔法攻撃の直撃でも解除される。追加効果として【物理攻撃無効】付き。ま、あると便利でしょ…。



「これらに関してはもう大丈夫!随分お世話になっているし…」


 相変わらず破格の性能を伝えてくる。だがこれまでも闇魔法は様々な場面で役に立ってきた。今となっては闇魔法があってよかったときちんと思えるミナトである。


 さらにミナトは転移魔法の項目に指で触れた。


【転移魔法】転移テレポ

 眷属の獲得という通常とは異なる特異な経緯から獲得された転移魔法。性能は通常の転移と同じ。転移元と転移先の双方に魔法陣を設置することで転移を可能にする。転移の物量および対象に関して様々な条件化が全て術者任意で設定可能。設定した条件を追加・変更することも可。魔法陣は隠蔽することも可。



【転移魔法】眷属転移テレポ

 眷属の獲得という通常とは異なる特異な経緯から獲得された転移魔法。魔法陣を使用することなく眷属を召喚することが可能。当然、送り返すことも可。建造物等がある場合しっかりと避けて召喚・送喚するのでそういった点は心配無用。


「これもすごく役に立っている。運命を受け入れよう…」


 自信を納得させるかのように呟いた。そうしてミナトは眷属魔法の項目に触れる。



【眷属魔法】眷属強化マックスオーバードライブ

 極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。眷属化した存在を強化する。眷属を確認して自動発動。強化は一度のみ。実は強化の度合いが圧倒的なので種を超越した存在になる可能性が…。



【眷属魔法】火竜の息吹ファイアブレス

 極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。レッドドラゴンを眷属化したため取得。火竜の息吹ファイアブレスが放てます。口だけではなく任意の場所から発動可。普通の炎も出せると便利でしょ?



【眷属魔法】水竜の息吹アクアブレス

 極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。ブルードラゴンを眷属化したため取得。水竜の息吹アクアブレスが放てます。口だけではなく任意の場所から発動可。もちろん生活用水としても使用できます。ちなみに水質は極上です。やっぱり水は必要でしょ?



「何がなんだか…、確かに便利な魔法のような気がするけどさ…」


 ミナトが自身のステータスにツッコミを入れる。新しく表示された【眷属魔法】水竜の息吹アクアブレスもどうやら規格外の魔法らしい。


「さすがミナトね。水魔法で作成した水を生活用水…、特に飲用水に使用するためには最低でもレベルが四以上は必要なのよ。それより下のレベルでは濾過や煮沸が必要になるわ。品質が極上って書いてあるからレベルとしては私と同じくらいかもしれないわね?」


 ステータスを覗き込みながら笑顔でそう言ってくるシャーロット。彼女の水魔法レベルは八である。水竜の息吹アクアブレスしか使えないミナトだがその威力と水質はシャーロットと同等ということらしい。


「マスター!シャーロット様を除けば相反する属性である火と水の魔法を高いレベルで使用することはほぼ不可能なのだ。これは凄いことだぞ!」


 デボラが素晴らしい笑顔でダメ押しをしてくる。


「あははは…」


 乾いた笑いしか出すことができないミナト。


「ミナト!まだ次があるでしょ!はやく、はやく!」


 シャーロットに促されて我に返ったミナトは心を強く持ってもう一つ新しく表示された魔法の項目に触れた。



【収納魔法】収納レポノ

 時空間に作用し、アイテムの収納、保存を可能にする術者が管理できる亜空間を作り出します。アイテムを出し入れするゲートは術者を中心とした半径二メートル以内で任意の場所に複数を設置可能。時間経過なし。意思・意識のある生物に関しては収納に本人の同意が必要、ただし亜空間内は快適ではないのでご注意を。亜空間はとても大きいのでご自身でのご確認をお願いします。ちなみにゲートから武器を射出するような運用も可能だったりします。かなりの威力です。攻撃もできた方がカッコいいでしょ?



「これ収納魔法って言っているのに攻撃方法も書かれている…。これはヤバいやつだ…、それもかなりヤバい…。亜空間から剣、ナイフ、矢を次々と飛ばして攻撃するって…。近接戦闘の不意打ちとかであるやつかな…?ラノベだと多分主人公側はやらない攻撃だよね…」


 呻くようにミナトは呟く。


「凄い魔法を会得したわね…。アイテムを亜空間に収納できるだけでも凄いのに攻撃もできる魔法。まさに規格外ね!これは…」


「圧倒的な闇魔法。自在に転移を使い、我らレッドドラゴンやブルードラゴンと同等かそれ以上のブレスを操る。そして誰も習得したことがないとされる収納魔法を操りそれを攻撃方法としても使用する…。これは…」


 ステータスを覗き込んでいた絶世の美女二人も収納魔法の表示には驚いたらしい…、のだが、


「「真なる魔王の誕生ね(だ)!」」


 シャーロットが右腕、デボラが左腕をがっしりとホールドしながらとびっきりの笑顔でそんなことを言ってくる。無造作に当たっている非常に魅力的なの感触が大変なことになっている。これほどの美女二人とこういった状態になっているということに関しては嬉しさと幸せと…、これがリア充か…、などといった感情がぐるぐると頭を駆け巡るが…、


「魔王じゃないからね!!!!」


 とりあえず魔王ではないという主張だけは声に出して行うミナトであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る