第131話 ジャイアント・フロッグ殲滅作業
「
群れを成す巨大なカエルの魔物相手に
ここは水のダンジョンの第九階層。第三階層からここまで緑豊かな陸地と澄んだ水で満たされている沼地に分かれたフィールドが続いていた。出てきた魔物はジャイアント・フロッグと呼ばれるカエルの魔物一種類だけである。第三階層のジャイアント・フロッグは二メートル程だったが、階層が深くなるにつれて魔物は強化されるのか第九階層に出現したジャイアント・フロッグの見た目は巨大アマガエルだった第三階層のそれに比べて大きさは三メートル程とさらに巨大になり、カエルのくせに筋骨隆々で色は真っ黒になり、血管のようなものが鈍く紅い輝きを帯びているという迫力のある気持ち悪い姿で登場してきた。
「カエルはどこまで行ってもカエルだからなのか水魔法は
思わず声が大きくなる。
『数が多すぎる!』これまでの道中はこの一言に尽きる。階層が深くなるに従いどんどん凶悪な形態のカエルが出てきたがどの階層のカエルも強さとしてはミナト、シャーロット、デボラの敵ではなかった。
カエルを近づけないミナトは魔物の魔法攻撃を
苦戦は一切していない。魔力も十分に残っている。だが夥しい数のカエルを只々斃し続けるというのがこう長時間ともなると精神的に疲れを感じてきたのだ。ジャイアント・フロッグの魔石も山と積めるほどに回収している。王都でただ暮らすだけならもう数十年分以上は稼いでいるのでは、と思わなくもない。そもそも火のダンジョンで狩りまくったサラマンダーからドロップした宝石もまだ残っているので今更の話ではあるのだが…。
「ふぅ…。久しぶりに来たけど以前よりも確実に…、本当に確実に多いわ!誰も狩らなくなったから増えたのかしら…」
「もっと火力を上げることもできるがダンジョンを壊すわけにもいかぬ…。この程度の攻撃力が限度であろうが…、こうも数が多いと流石に鬱陶しいな…」
二人も肉体的や魔力的ではない疲れを感じているらしい。
「それにしてもこの数…。冒険者の人族や亜人では絶対ここまで来られないよね?」
「ええ。この階層のジャイアント・フロッグだと確実に水属性の魔法レベルが四よ。魔法が使えない者は遠距離から水球で狙い撃ちされるし、私たちは寄せ付けてないけどあの筋肉モリモリ加減からいってきっと近接攻撃もできるわ。人族や亜人で魔法が使えると言ってもレベル三がほぼ上限だしね。レベル四の魔法が使えて前衛もできる屈強な者をかなりの数揃えることができなければ全滅するわね」
ミナトの問いをシャーロットが肯定する。
「我らの住処である火のダンジョンもそうだが属性を司るダンジョンは他のダンジョンと異なり気楽に入れるようにはできていないのだ」
「それには納得する…、って…、え?えっと…、シャーロット?おれ達って機会があればそのダンジョンに潜ろうとしているんじゃ…?」
デボラの言葉に同意していたミナトが思わずシャーロットに問いかける。
「今更じゃない?火のダンジョンも大丈夫だったし、このダンジョンも今のところ順調よ?他の属性を司るダンジョンもきっとこんな感じだわ!」
何でもないといった風で軽く返すシャーロット。
「普通の人族や亜人が確実に全滅するダンジョンを多少の疲れがあってもサクサク進むおれ達って…?」
思わず疑問を口に出すミナトであるがシャーロットは取り合わない。
「そんなことは気にしないの!それよりもミナト!あそこに階段があるわ!第十階層よ。この陸地と沼地のフィールドはここまで。第十階層はなかなかの景色よ!」
「うむ。圧巻の景色を楽しみしてくれ!」
二人が笑顔でそういうのでミナトは先頭で第十階層への階段を下るのであった。
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