第125話 破壊された紅玉
ウッドヴィル家の本邸に侵入したミナトはモーリアン達の話からさらなる情報を得ようとする。
「まさか
顔を顰めてモーリアンが呟く。
「ラジョーナス様?
「は、はい…。そ、その件ですが…、
ミリムの問いにラジョーナスと呼ばれた司祭は土色の表情に悔恨の念を含ませながらミリムへと返答し、その内容にミリムは顔を青ざめて言葉を失った。
「そして最奥には衛士達の亡骸と砕けた
その言葉にモーリアンは俯くがすぐに顔を上げる。
「
「モーリアン様、神殿の衛士は我が神殿の孤児院出身の者が務めます。命がけの任務故に肉親がいる者を任ずることはありません。婚姻を結んだ者も別の任に就くことが定められておりますので…」
「そうであったな…」
「ただ肉親以外の縁者への連絡はこれからとなります。ただ状況を考えるとすぐに連絡というのは難しいかと考えておりまして…」
「むぅ…、確かに…」
モーリアンが難しい顔となり押し黙った。
『水竜の神殿って場所があるんだ…。後でシャーロットとデボラに聞いてみないと…、そして神殿ってところに
「神殿はウッドヴィル家の管轄じゃ。此度のこと時間がかかるかもしれぬが、現当主である我が息子の名で犠牲になった者達の名誉を守り、丁重に弔うことを約束しよう」
その言葉にラジョーナス司祭が深々と頭を下げた。
「過分なるご配慮を頂きかたじけなく思います…」
「うむ…。それでその破片は紛れもなく
ラジョーナス司祭の言葉にモーリアンが確認を入れる。
「はい。間違いございません。定期的に
「もちろん分かっておる」
モーリアンは司祭に理解の態度を示すと執事のブライクへと視線を移す。
「ブライク!儂がこの話を聞くまでに行った対処は?」
「はい。いち早く情報の統制に動きました。神殿の者で事件を知っている者は全員神殿内に待機し騎士がついています。まだ街に事件の情報は流れていません。ライナルト様一行に密書を持った騎士が向かっております。密書は暗号化し、騎士には契約魔法を結びましたので外部に漏れる危険はありません。ラジョーナス様のご説明の通り
その公爵代理のような答えにミナトは少し驚く。どうやら執事の姿をしているがブライクという者はウッドヴィル家の家宰のような立場にあるのかもしれない。
「十分じゃブライク!お主はよくやった…。しかし
モーリアンが執事の労を労うが表情は冴えない。
「おじい様!何者かの策略であるのなら、婚礼の儀の場で
考え込んでいた様子のミリムがそう指摘する。
「そのことよ…。相手は我等のことを知っている…。襲撃が失敗したことが伝わり新たに仕掛けたか…、もともと用意していた策か…、はたまた襲撃とは異なる者達か…」
モーリアンがさらに難しい表情になった。
「おじい様!高位冒険者に依頼を!
思わず声を大きくするミリムをモーリアンが制する。
「しかしミリムよ。水のダンジョンはかの火山エカルラートの地下に広がる火のダンジョンと同格と言われる最難関ダンジョンじゃ。いくらミナト殿達であっても…」
『あれ…?おれ達のことを調べていたとは思ったけど、火のダンジョンで
「申し上げます!」
絶妙なタイミングで応接間の外から声がかかる。どうやら
『ご都合主義に感謝かな…、だけど結局のところブルードラゴンには会う必要がありそうだ…』
そう心で呟きつつミナトはドアが開けられた瞬間に応接間を後にする。廊下を進むとお誂え向きに開いていた窓から屋敷外へと脱出したミナトはシャーロットとデボラを探しにアクアパレスの中心街へと赴くのであった。
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