第47話 おもてなしの効果2
「こ、これは…」
レッドドラゴンの長が驚愕の声を上げる。
「なんという力の奔流だ…」
「凄い…、体の奥底から魔力が沸き上がるようだ…」
それに呼応するかのように他のレッドドラゴン達からも驚きの声が上がっている。
しかし、自身のステータスが気になって仕方のないミナトはそちらの現実から目を逸らしてステータスが表示されているプレートの【保有魔法】に触れた。先程と同様に画面が展開される。
闇魔法 Lv.MAX:
転移魔法
眷属魔法
「表示が前とは変わっている…」
闇魔法の名前のみが表示された以前とは異なり各魔法名がカテゴリに分けられて表示されている。とりあえずミナトは以前も見た闇魔法の部分から触れて情報を展開することにした。
【闇魔法】
全てを燃やし尽くす地獄の業火を呼び出します。着火と消火は発動者のみ可。火力の調節は自由自在。ホットカクテル作りやバゲットの温め直しなど多岐にわたって利用できます。素敵なアイリッシュコーヒーがお客様を待っている!?
【闇魔法】
ありとあらゆるものが拘束可能である漆黒の鎖を呼び出します。拘束時の追加効果として【スキル無効】【魔法行使不可】付き。飲んで暴れる高位冒険者もこれがあれば一発確保!
【闇魔法】
至高のデバフ魔法。対象の能力を一時的に低下させます。低下の度合いは発動者任意。追加効果として【リラックス極大】【アルコール志向】付き。お客様に究極のリラックス空間を提供できます。
【闇魔法】
全ての音や生命反応を感知不能にする透明化に加えて
「これはもういいや…、運命を受け入れることにしよう…」
相変わらずツッコミどころの多いままに破格の性能を伝えてくる記述である。だがもうこれに関しては受け入れる覚悟を決めたミナトであった。実際、闇魔法がなければ
「でもレッドドラゴンを圧倒する魔法って…。もうこれだけで十分とかって思っていたのだけど…」
「ミナト!見てみようよ!はやく、はやく!」
若干の葛藤を呟くミナトの傍らで彼の抱きしめるかのような状態でステータスを覗き込んでいるシャーロットがそう急かしてくる。腕に当たる控えめながらもしっかりと柔らい感触と間近にある美しい笑顔は大変破壊力あるものだがとりあえずそのことは置いておいてミナトは転移魔法の項目に指で触れた。
【転移魔法】
眷属の獲得という通常とは異なる特異な経緯から獲得された転移魔法。性能は通常の転移と同じ。転移元と転移先の双方に魔法陣を設置することで転移を可能にする。転移の物量および対象に関して様々な条件化が全て術者任意で設定可能。設定した条件を追加・変更することも可。魔法陣は隠蔽することも可。
【転移魔法】
眷属の獲得という通常とは異なる特異な経緯から獲得された転移魔法。魔法陣を使用することなく眷属を召喚することが可能。当然、送り返すことも可。建造物等がある場合しっかりと避けて召喚・送喚するのでそういった点は心配無用。
ミナトは思わず眉間を押さえる。やっぱりとんでもない代物だった。
「これは上手く使うと便利すぎるのでは…?」
思わず呟く。
「うーん。それは間違いないと思うけど私たち以外にこの魔法が知られるときっとミナトは世界中から捕獲の対象になっちゃうわね…。ま、そうなったとしてもそんな奴ら全員を駆逐できる力がミナトにはあると思うけど…」
「それやったら最悪の魔王に認定かな?」
「ええ…」
お互いに顔を見合わせた二人は転移魔法を完全に秘匿な魔法として慎重に使うことに決めたのだった。
しかし、確認はまだ終わらない。
「ふう…。これで最後だね…」
そう呟いてミナトは眷属魔法の項目に触れる。
【眷属魔法】
極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。眷属化した存在を強化する。眷属を確認して自動発動。強化は一度のみ。実は強化の度合いが圧倒的なので種を超越した存在になる可能性が…。
【眷属魔法】
極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。レッドドラゴンを眷属化したため取得。
「凄すぎるわね…」
流石のシャーロットも驚きを隠せないようだ。そんな彼女の隣にいるミナトはというと…、
「あは、あははは…、あはははははは…」
乾いた笑い声がレッドドラゴンの里に響き渡るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます