第33話
春風編です。
どなたかキャラに質問される方いませんか……?
デレ、とかだけじゃなくて、一緒に質問もしてください。
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「なーぎくん! 今日、一緒に帰ろっ!」
誰だこいつ……と一瞬思ってしまった。
東京から帰ってきた次の日、花ちゃんは今までの態度を一変し、俺のお願い通り、昔の口調で話すようになったのだ。
「し、白海さん。僕も一緒していいかな?」
そんな花ちゃんを見て、ワンチャン行けるかも、と思った男子生徒……あー、名前忘れたな……まあクラスメートAが話しかけた……のだが。
俺への笑顔から、冷たい無表情になり、眉をひそめる。
「は? なんで大して仲良くもないあなたと一緒に帰らないといけないわけ? 今、なぎくんに話しかけてるんだけど」
冷たく一蹴されてしまった。
他の人にも冷たい態度を取っていることから、どうやら、昔の口調で話すのは俺だけのようだ。
てか、これが『絶海の残虐姫』の言われる由縁か……。
俺は今まで見たことなかったから知らなかったけど……これは言われた方はたまったもんじゃねぇな……。どんまい。
まあ、俺だけというのはな……鈍感ではないから、もちろん気が付いている。
そう……!
……俺を信用してくれているんだ! ということを。
まあ、そんなわけだが、俺だけにそんな様子なので、クラス内でざわつきがすごい。
ここまで態度を変えればさすがにカップルに疑われてしまう。
まあ、結果的にはそうならなかったが。
あるクラスメートの発言。
「ま、まさか白海さん脅されてるんじゃ……!?」
「「「「それだ!!」」」」
と、なり俺への評価がゼロを振り切りマイナスになったことで収束したのだった。
……いや、酷くない? さすがの俺も泣きたい。ぴえん。
まあ、別に友達に疑われたらショックだが、それはないし、どのみち俺に友達は少ないから大丈夫だ。
そして、変わらず花ちゃんが話しかけてくる。
俺は気付かない。
俺と花ちゃんをじっと見つめる視線があることに。
☆☆☆
「今日は部活ないから春風と勉強会か」
俺はラインで春風に、今日勉強会はできるか? と聞く。
すると、すぐに既読の文字が付き、数秒で返信される。
『問題は解決したの?』
と聞かれたため、
『あぁ、無事に』
と、返信する。
『じゃあ校門で待ってるね』
と返信が来たため、すぐに行くと送り、言葉通り急いで向かう。
玄関で靴を履き替え、少し小走りで校門に向かう。
下校時だけあって、生徒が大勢にいたが、春風はすぐに見つけることができた。
なぜか春風の周りだけ人がいないのだ。
そして、周りから注目もされている。
「あ、そっか」
俺は春風が学園三大姫だったことを思い出す。
学校中の人気者なんだものなぁ……。
絶賛クソ野郎の疑いかけられている俺とは大違いだな。
「てか、この中を行くのか……」
間違いなく目立つ。
だが、待たせている上に、電話で別のところで待ち合わせ、など失礼すぎる。
仕方なく俺は春風に近付く。
周りからはなんだこいつ、という不躾な視線で見られる。
近付く俺を見つけた春風は笑顔で俺に寄り、声をかける。
「じゃあ、行こっか」
「あぁ……」
待っていた相手が俺だと知る否や、なんであいつが……という恨みと嫉妬の目線が俺を刺す。
そんなことでへこたれると、この先やってられないため気にせず歩く。
学校から離れ、人の目線が少なくなったのを確認し、俺は小さく嘆息する。
隣を歩く春風はなぜか物憂げだ。
「どうかしたか?」
その表情が気になった俺は心配する。
心配した俺を大丈夫、とふわりと笑う春風。
結局、何時もよりも交わす言葉が少ないまま、俺は春風の家に到着する。
先導する春風はなぜか無言だ。
それに気になりながらも後を歩く。
「はい、どうぞ」
「お邪魔します」
さすがに三度目となれば緊張はもうしない。……いや、少し嘘だな。
変態っぽいが女子の一人暮らし、というシチュエーションと広がる匂いに少し緊張している俺がいる。
ただ、それを表情に出すことがなくなっただけだ。
リビングへ行き、さっそく教科書類を広げる春風。少なくともやる気はあるようだ。
「えーとだな、今回は数学をやろうと思う」
選んだ理由は簡単。
この前、春風が数学の小テストの結果が芳しくなかったと言っていたのを思い出したからだ。
「ってことは、余弦定理かな? 少し苦手で……」
「うん、じゃあこの問題をしてみるか」
俺は問題集から余弦定理を使う、図形を取り出す。
対象となる三角形を見つけ、余弦定理のa^=b^+c^-2bc ∠cosAでcosAを求め、sin^+cos^=1でsinを求め、S=1/2ab sinθの公式を使い、面積を求めるといったものだ。
解き方はシンプルだが、√の計算やら、複雑な数字が出てきやすく、間違いやすいのだ。
「ここはこうして───」
幾つか似ている問題をこなしながら、勉強中は進む。
「やった! 解けた!」
センター試験の過去問を解くことのできた春風は嬉しそうに声を上げる。
さっきの物憂げな表情はいつのまにか消えていて、魅力的な笑顔を披露してくれた。
それにしても、相変わらず春風の勉強に対する集中力と、成長は凄まじい。
まだ一年だから正直、先のことは不明だが、春風が勉強のモチベを維持し努力を続ければ東大に入れそうなレベルだ。
「次の模試で結果出るといいな」
俺は勉強を頑張る春風にそう声をかける。
努力の過程も重要だが、結果が全てだと思う。
そうでないものも存在するが、勉強に限ってはそうではない気がする。
努力しても成績が伸びていなければ、誰も認めてくれないのだ。
いくら頑張ったと言っても、それでこの結果? と言われればどうしようもない。
まあ、失敗して次に生かすことも重要だけどな。
その点に関しては、春風はよくわかっているだろう。
ある程度一段落した俺は、春風の淹れてくれた紅茶を啜りつつ、あることを思い出す。
……そういえば、注目されるだろうし、待ち合わせ場所を変えるように言わないとな。
「あ、そうだ春風」
「ん? なに?」
解いていた問題から目を離し、こちらを見て首を傾げる。
「目立つだろうし、待ち合わせの場所を変更しないか?」
そう言った瞬間、なぜか空気が凍った、というよりか春風の周りが凍ったような錯覚を感じた。
つい先ほどまでニコニコしていた春風はなぜか不機嫌になり、濁った瞳で俺にこう言う。
「それは白海さんと付き合ってるから?」
「へ?」
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え? 鈍感? 何のことですか?(すっとぼけ)
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