第27話

 春風の人気がすごいのですが……

 春風回はあと少し……ですが!

 白海好きです! って方いませんか……


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「さて、どうするかな」


 ん? ノープランだよ。もちろん。


 春風に追い出されてしまった俺は住宅街を歩きながら考える。

 まあ……追い出してくれた、と言った方が正しいが。


 そして、最後の言葉……は! とりあえず置いとく。

 今は白海のことが最重要だ。


 助ける、と大げさに言えばそうかもしれないが、俺はそんな大層なことはしないつもりだ。


 せめて、せめて少しでもいいから、白海の心の奥底にある小骨を抜くような。


 そんな感覚でいきたいと思っている。


 そのために必要なこと。


「知ること……」


 俺の勇気が原因で忌避してきたこと。

 と、言ってもなにもプライベートを探るわけはない。

 ただのストーカーになっちゃうからね。


 調べることがストーカーじゃないかって?


 ……ノーコメントで。

 うん、自覚は一応あるから。


 まあ、とりあえず、知るためには……


「頼る……しかないよなぁ……」


 もちろん、『天笠』にだ。


 俺はポケットからスマートフォンを取り出し、通話アプリをタップする。

 相手は『天笠』の関係者だが、ジジイではない。


 あいつにはなにも頼りたくないからな。


 俺が今から電話する相手は『天笠』の───所謂情報屋だ。 


 数回コールしたのち、相手は出た。


「坊っちゃんからとは珍しい。何用で?」


 ややハスキーボイスな、男の声。

 俺を坊っちゃんと呼ぶこいつが情報屋。  

 通称──アマリリス

 彼の本名は誰も知らない。ありとあらゆる全員が、彼とはメールなどの文章や、通話でしか会話をしたことがないからだ。

 いつも、秘密主義ってカッコいいっすよね。とかふざけたことを言っているこいつだが、腕は確かだ。

 金さえ払えばなんでも教えてくれる。


 ……喩え世界的大女優の裏の顔、だろうが。

 どうやって調べてんだよ、こいつ。


 そして俺はこいつにある依頼をする。


「────だ。できるか?」


「お安い御用っす。今回は特別にツケておきますよ」


「助かる。それじゃあ……」


「あ! ちょっと待つっすよ!」


 切ろうと思った俺は、慌てた声を出したアマリリスに、怪訝な顔をする。

 もっとも、アマリリスから俺の顔は見えないが。


「どうした?」


 何か重要な用かもしれないと思った俺は、気を引き締めて続きを聞く。


「あ、それがっすね。坊っちゃんと六道の当主が許嫁にな──」


 ブツッと、俺は途中で切った。


「なんで知ってるんだよ! あいつ!」


 情報屋はだてじゃねぇな。

 あいつの正体って情報屋ってよりはスパイなんじゃないか?

 潜入でもしないもわかんないだろ、普通。


 ハァ……俺はしみじみとため息を吐く。


 知ってるやつがいるとは……なんとも憂鬱な気分だ。

 だが、俺的には許嫁関係は解消したはずだ。

 きっとわかってくれるはず! 多分!



「さて、とりあえずアマリリスからの情報の受け渡しまで、一週間。普通に過ごすとしますかね」


 俺は自分の中にある計画を確認しつつ、受け渡された情報によって変わる計画のプランを練るのであった。

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