2021/01/10

何も出来ないことを思い知って無意味に時間を消費する日々も、振り返れば美しき人生と名付けられるだろうか。


私は特に努力もしてこなかった人間なので、無力感を嘆く資格も無い。


然るべき無能が然るべき過程を経て然るべき場所にいるだけである。


焦燥感が身を焦がし、何かをなさねばならぬと思いながらも、手を動かさんとする時になると、いつも怠惰が首をもたげてじっとこちらを見る。


諦め流されゆく事も出来ず。

さりとて抗う事も出来ず。


この人生は流刑だ。


遥か先に街の賑わいを見て、潔く死ぬことも許されず、羨望と屈辱にまみれて緩ゆかに朽ちてゆく。


救いはない。あってももう見えない。

私はひとりきりだ。

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