2021/01/10-夜



寒い日に外を歩くのは妙に心地よい。

人の身体は何重にも重なっていて、上っ面の寒さはつらいものだが、一枚二枚と皮がめくれて芯まで冷えると、ふと暖かく感じる。感覚が徐々に薄れ、その失われる間近、この上なく研ぎ澄まされる瞬間がある。空気が静かになり、遥か遠くの山の猪追いの鉄砲が聴こえる。太陽が厚い雲に覆われると街並みは穏やかな影に包まれ、人も家屋もその色を忘れ佇む。これがこの地の持ち合わせる本来の熱量だ。僕はその真ん中に立っている。

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