第23話

自分の愛しい人を目の前で殺されていることだ

確かに彼は魔王になる条件に当てはまっている




このまま彼をここへ連れてくるのはまずい…



「…彼を連れて行かせない。」

「力ずくでやってみな!」



どうにか弱体化しなければ




そう思い攻撃を受け流しながら少しずつ後退しながら奥の部屋に入る


「逃げてばかりでは勝てないわよ!」



足元がぐらつき前のめりに倒れた


「キャッ」



「あらぁいい声で鳴くじゃなーい?」




「…」



「にしても何ここ本ばかりじゃない」



ここには私の世界の知識が詰め込まれている



さらに奥に行ったところに例の結界の張ってある部屋がある…でも


万が一効かなかったら袋小路で逃げ場が無くなる


「…ここは私の知識の部屋。今の貴女にとっておきの治療薬があるの」

私はアダルにむかって薬品の入った注射器を投げた


「…え?イッ!今何をした!?」




「私では人は殺せませんが、医術は得意なんですよ?」




さっき投げた注射器には麻酔薬が入っている。



普通ならこれで動けないはずだが…



「やってくれたわねぇ」


アダルは腕を抑える


少し麻痺がある程度なんだろう

「普通の人間だったら今ので動けなくなると思うんだけど」







「魔王の部下である私をその辺のひ弱な人間と一緒にしないでくれる?」



「では貴女は魔王から生まれた魔族という解釈でいいのかしら」

人間そのものの姿から推測するに憑依していると思われる


「えぇそうよ。正しく言えば、その魔王から生まれた私が人間の体を乗っ取っているということかしら」


聞いてもいない事をまで喋る魔族で助かったわ


魔王が憑りついていたらこんなもんじゃないんだろう




私の推測は間違っていなかった


恐らく彼女を殺してもアダルは新しい依り代を持っている。


依り代である人間の彼女を私は殺せない


「考え事は済んだかしら!!?」


彼女から火の玉が飛んできた

「ちょっとこれは…まずい」



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