人形は天才を嫌う
第11話
私が再び廊下に出ると、先ほどより人が減っていた
「…」
先ほど睨んだのが効いたのだろうかそう思いながら隠し部屋の扉を開けた
それを見ている者たちがいるとも知らずに
「ディアモンドの奴あれで威嚇したつもりか?」
「それにしても本当なのか?ディアモンドに子供が近づくなんて」
「現に負傷した騎士が見たって言ってたんだ、事実だろう?」
「あの部屋は俺達にははいれないしなぁ」
『面白い話をしていますね』
「「え?」」
……
「…部屋を好きにしていいとは言ったが魔法図書館にしていいとは言ってないぞカミーユ…これは君の仕業だろう」
「お、思いのほか彼女の魔力が多くてこうなっちゃいました」
「ディアモンド様、頭痛薬か胃薬つかう?」
ぽんぽんと薬のようなものが右手の手のひらで生成されるがディアモンドは首を縦に振らなかった
「…いい。…?その手に持っている本はなんだ」
「向こうの世界の医学書」
「…全く読めないな、うるるこれを読めるように翻訳しなさい」
「…え?私この世界の言語知らないですよ?」
それもそのはず本来転生者にあるはずのこの世界で生きていた記憶がないのだから
「私が教える君はこの本を…いや…この本を読めるように君の世界の言語を私に教えなさい」
彼女の最先端の医療が世界に浸透するのはかえって魔王を呼ぶ原因になりかねないとディアモンドは考えていた
「えぇ?ディアモンド様が私の世界の言語を覚えても何も得はないですよね」
「この本が翻訳され表に出ることはだめだ、かといってこの世界の言語を君だけに覚えてもらうのは平等ではないと判断したまでだ」
もっともらしい言い訳で誤魔化していたが今言った言葉もまた嘘ではなかった
それに、回復魔法も使えない奴がどうして部下の怪我を治すことができたのかを味方にも悟られてはいけない
「…真面目ですね…いいですよ私があちら側の言語を、ディアモンド様がこちら側の言語をそれぞれ教えることで手を打ちましょう」
私は一冊のノートを取り出し向こうの世界の文字を書き出した
数時間後…
「…私の方は大体理解できたが…時間がたちすぎてしまったな…」
普通は9年はかかる教育を結構すんなりと彼は覚えた
「…早い方だと思いますけどね」
「これだけの知識量を一体どのくらいで終えるものだ?」
「義務教育が9年間あって、そこから好きな職業になるために最低3年、もしくは7年かけて学校に通います」
「3年と7年にどんな違いがあるのだ?」
「単純な話、学校が違うのです。中学を出たらまず高校に進学して3年間学びそれから大学に行くのです。予備知識もなく中卒で大学へ行くことはほぼ無理でしょうし、ある一定の大学には高校を卒業した証が必要な場合があります」
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