第10話

ディアモンドside


『おい聞いたか?ディアモンドが部下の怪我を治療したって』



『聞いた聞いた、アイツ回復魔法得意じゃないのにな一体どうしたんだろうな?』



『なんか一緒にいた迷子の子供がそういったって言ってたぞ』


『迷子の子供ね?それってやっぱり庶民か?顔を知っている奴ならだれも近づかんだろう』




『さぁどうだろうな』



口々に噂が廊下を歩くディアモンドに向けられていた





「…噂話ならもう少し静かにしたらどうだ?」



そういうと廊下の空気が凍り付いた




「フィゼル入るぞ」


ノックをして声をかけた




「あぁ」



扉の向こうにいるのはこの国の国王だ



ガチャリと扉を閉めるとそのこわばった空気が一変する



「なんだ?もう寂しくなって父さんに会いに来てくれたのか?」

私と国王は血はつながっていない父親代わりに育ててもらったことは感謝してもしきれない


「…御冗談を、私は報告をしに来ただけだ」



「あぁ、噂になっている。例の迷子の女の子か?」



「話が早くて助かる」



「子供が好き好んで君によりつくとは正直疑ったがまさか本当の事だったとはな」



「その子供ですが、どうやらソフィア姫にうり二つの転生者のようだ」


「なんだと?ならばソフィアの記憶はあるのか?」



「いいえ、本来転生者には絶対あるはずのこの世界で過ごした記憶が一切なく、彼女自身も目が覚めたら森にいたという記憶しかないようだ」



「…それで報告はそれだけかね?」



「いいえ、彼女は元の世界への帰還を望んでいるようだ」



「それは可能なのか?」



「今のところは不可能だろう、だが彼女は何故ここに来たのか理由も知らない。それを確かめるために帰還を望んでいると話していた」

あの様子ではどんなに止ても聞かないだろう

前の世界で一体何があったのか?

「ふむ、部下の傷を癒したのもその子だろう?ディアモンドは昔から回復魔法は使えないからな」


「…彼女の医療技術もそうだが魔力は桁が違う、万が一魔王の手に堕ちれば世界が滅ぶ、しかしこの状況下でうかつに外には出せん」



「ふむ、その娘はソフィアに似ていると言っていたな。ならばこちらに考えがある、一度会いたい…その時間を作る追って連絡するので待っていなさい」




「仰せのままに」






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