この世界のおとぎ話

第8話


「ねぇカミーユ…私何かまずいこと聞いた?」



「ご主人様の両親についてはあまり詮索しないでほしいわ。今は敵国になっているの」



「それってどういう」



「そうねこの国…というよりもこの世界の話をしましょうか」





カミーユが私の額に猫の足を押し付けると、ある記憶が流れ込んできた




今は誰も知らない昔の事、創世神と破壊神が長い長い争いをしていました



二人の神の戦いでこの人間が存在する世界が生まれ一人の女性と出会いました



創世神アスタロッサと破壊神アモスはその女性に恋を抱き、そこでも争いが生まれました




その女性は争いを止めようと間に取り二人の攻撃を受け、大きなけがを受けたのでした



アスタロッサは彼女を死なせまいと彼女の体を再生し続けました、また逆にアモスは彼女を誰の物にもさせまいとその体を破壊し続けました



当然ながら人間の体が破壊と再生に耐えられるはずもなく彼女は生命活動をつづけたまま二度と起きることはなかったのです




そうして二人の神の直接的な戦いはここで終わるのだが、二人の神は自分の分身を作りそのものに代理戦争をさせました




それこそが勇者と魔王による聖戦だったのです


「貴方達はどちらの勢力になるのですか?」



「この国…アクアマリンでは勇者側になっているわ。ご主人様もそのつもりだけれど、他の人たちはそうは思わないでしょう」


「どういうこと?」



「今勇者は不在。魔王の勢力が拡大したことによって北帝国クレイモア、つまりご主人様の故郷である国が魔王の城になったの。今の魔王は北帝国の国王つまりご主人様の父上よ」



「…そんな…」



「魔王は体を乗っ取り力を得る今魔獣を森へ放っているのも魔王の仕業。勇者は…神に選ばれなければいけませんから」


「それじゃあこの世界は今…均衡を」


「ええ、保っていないどころか傾き続けているわ、このままだと他の国も危ないし君の力だって取り込まれるかもしれない。それだけは避けたい」



「どうして…私の力を?」



「うるるの魔力はご主人様と同等かそれ以上の力を持っている。仮に魔王が倒されたとしても貴女が取り込まれていたら次の魔王になるだろうからね、この力は絶対に奪われてはいけないの」




「そ、そんな…私戦えないわ」



「あぁうるるに戦えって言ってるわけじゃないの…ただ貴女だけはご主人様の味方でいてあげて、この国に彼の味方はほとんどいないのだから」



敵国の王子がこの国にいることがどれだけ居づらい環境なのか私にはわかる気がした


「…はい」


ズキっ

アルマもこんな気持ちだったのかな?



「…っ!?私何で…?」

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