第7話 何か見た
何か見た
拙者こと千代は絶体絶命でござる。囲まれているからではあるでござるが、その中で力技が怖いでござる! 一撃で、森に道を作る矢の一撃があちらこちらから拙者を狙っているでござる。拙者は何とか音と風を頼りに回避しているでござるが、それもいつまで続くか……。
「乃理壁!」
「了解しました!」
拙者の周りに丸く壁が出てきて拙者を守られた。有難いでござる。でもどうやってここから戦えばよいのでござろうか? とりあえず、この壁の上に登ってみるでござるか。その瞬間見えてしまった。
数分後
「壁解除しますね」
ああ、壁が解除されるでござる。ど、どうしよう。さっきの衝撃で思わず落ちてしまったでござるが、まだ、珠樹殿に顔を合わせられる自信がないでござる。
「大丈夫?」
「は、はひ、だいじょうふでおじゃる」
「???」
ほらやっぱり、無理でござる。恐ろしくて、顔を見れないでござる。でも珠樹殿は恐らく……。
「怪我でもしたのかな、でも怪我らしきものは見当たらないし」
「大丈夫、大丈夫でござるよ」
思わず立ち上がり、後ろずさってしまう。
「ど、どうしたの?」
珠樹殿が困惑している、でもしょうがないでござる、アレを見てしまっては普通には接せない。だからこそ出来るだけ笑顔を作り、
「何でもないでござるよ」
と嘘を吐く。今すぐ逃げ出したい気持ちに耐えながら。
「じゃあ、行きますか。アミたちが待っていますよ」
「承知」
あ、乃理殿の声を聴いたら、少し落ち着いたでござる。これなら何とか動けそう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます