第17話 魔王

魔王




 火の手が上がっている建物の近くに、戦車を攻撃している人を見つけた。


「あなたがウエアかな?」


「少々お待ちください」


わお! 刀だけで、戦車を切り伏せたよ。


「で、あなたは何者ですか? 返答によってはあなたを敵と認めますよ」


「わ、私は敵じゃないよ。皐文に言われて、助けに来たんだ」


「そうですか、ですが」


って、小太刀をこっちに投げてくる! ギリギリ回避が間に合うかな? あ、そっか頭を小さくすれば!


「グギャアアアア!」


頭に小太刀を刺さった人がなんか叫んで倒れていった。


「後ろがお留守ですよ」


「あ、ありがとう。でも、戦い抜いてみせるよ」


空に敵はいない、地上の敵を一掃すればいいね。右腕を巨大化させ、横に振る。私の右手はそのまま大量の戦車をなぎ倒した。


「なかなかやるようですねでは左側の敵は私に任せていただきましょう」


「ほう、二人でこの軍勢に対抗するとは面白い! 儂の相手もしてもらおうか!」


何アイツ! 空からゆっくりと男の人が降りてきたけど、何故か相手しないとっていう意志に襲われる。目が離せない! とりあえず、右手で殴る!


「重そうな攻撃じゃな。だが、この鉄砲の雨を食らっても生きてられるか?」


! 私の周りに鉄砲がいきなり現れた? 逃げないと! 左手で鉄砲を叩き落として、前に出る。


「はっはっはっは、儂の鉄砲を叩き落すか、なら、死ねぃ!」


今度は大砲? けどかなりの旧式の大砲だよね。


「そんなもので殺せるとでも!」


「落ち着きなさい!」


何故か、ウエアにタックルされた。


「なんでタックルを?」


「あなた今何しようとしてましたか!」


「え、あの男に攻撃を」


「逆の手です」


? ? ? 分からない。手の方を見ると、爪が伸びて、自分の喉をつついていた。


「え? え? ?」


「あなたは今、自身の喉を貫くところでしたよ」


「ほう、おまえ、鬼か。なら、そこの女を殺せ」


なんで、体が、ウエアの方に向く。爪が、体が、脳が全身がウエアを殺せとつぶやく!


「ど、どうして、体が言う事聞かない!」


「どういう事ですか!」


「このまま使ってやるか、儂は先に、あの海に逃げたやつらを討ちに行く。その女を殺したら、その場で待っておれ」


「いやだああああああ」


その声もむなしく体は動き出す。そして、私とウエアの戦いは始まってしまった。

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