第5話 林檎の兎

林檎の兎




「この木の実は食べれる?」


『はい、此方の木の実は林檎、可食です』


食べ物を探す前に、珠樹から渡された端末に聞きながら、食べれる物を探しているんだけど、以外と食べれないものが多くて困るなぁ。さっきは林檎の偽物もあったし、たしか、マンチニールだったけ? でも、今回は大丈夫な奴でよかった。じゃあ、この近くの林檎の木を探せばいいのかな?


「この木はどう? さっきの食べられる林檎の木?」


『この木の林檎は食べられます。採取しましょう』


「合点!」


えっとこの場合、氷がいいよね。氷の塊を作って、射出して、枝を切ればうまく取れるかも。じゃあ、構えて、氷の塊を生成。枝に向かって発射! よし、枝折れた! ……けど、落ちてくるのを忘れてたよ! グシャってならないように受け止めないと!


「あわ、あわわわ」


ヨシ! 取れ……イタッ! イタタタタッ頭に落ちてきたよ。けど、割れてない! よし!


『アミ、この高度、硬度なら、落ちてきても、砕けることはありません。ですので安心して、落としていってください』


「あ、そうなんだ。じゃあ遠慮なく!」




「ただいまー。林檎が大量にとれたよ」


あ、思わず言っちゃったけど、私が一番最初かも、さぼりたくて、林檎だけ取って帰ってきたし。


「あ、お帰りなさいませ。私めは、少し、小型の魔物を狩った後、調理の準備と、台所に常備されている物の確認をいたしておりました。小麦粉と米、バター、牛乳、砂糖、塩、酢、醤油など調味料と、穀物系がありましたので、これなら料理できそうですね」


あ、乃理のほうが早かったんだ。なんか残念。


「そうなんだ。あ、他の二人は?」


「お二人とも、まだ探されているようで、珠樹様は、召喚獣と共に、魔物狩りを、千代は身軽さを活かして、木の実取りをしておられます。アミ様は何を採取されましたか?」


「じゃーん。林檎だよ。一人3っつは食べられる量だよ」


「ありがとうございます。林檎ですか。では、アップルパイか、乾燥させて、ドライフルーツにして、持ち歩くか悩みますね」


「それにしても、これが、兎の形になるなんてびっくりだね」


「兎? ああ、切り方によってなりますね。好きなのですか?」


「うん、家ではいつも兎だったから」


「なるほど、では一個は生のままで食べましょう」


「やった! ありがとうね」


これは、デザートが楽しみだね。じゃあ、私は部屋に戻って、よし、ゲームだ!

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