第2話 森の襲撃者
森の襲撃者
「森の中に入ったけど、何もいないね」
本当に何もいない。魔獣も、小動物も、けど、
「うん、何かいた後は、あるでござる」
「へ、そうなんだ」
たしかに、何か気配は感じるけど、そう考えていると、珠樹が、通信機の画面を見せてきた。ん? これが、さっき言っていた探索機能の画面だね。えーっと、周りに赤い点が大量だね!
「これってヤバイんじゃ」
コソコソと、珠樹に小声で聞く。
「まあ、そうだね。けど、向こうはこっちが気付いてないって思って攻撃してくるわけだから、チャンスかもよ」
「そうでござる。まずは、素知らぬ顔で準備を早々に進めるでござる」
「では、私めは壁の準備をいたします」
「じゃあ、私は、氷の弾を準備しておくよ」
「私は皆の補助に回るね。アミの合図で、攻撃、その二秒後に壁を出してね」
「「了解」」
「え、私の合図なの?」
ああ、ここでもリーダーシップ取らされるのか……じゃあ、
「3」
氷の塊を生成。珠樹の援護魔術を感じる。
「2」
氷の完成。それに、千代も苦無の準備が完了したみたい。
「1」
私と、千代が背中を合わせて準備完了。珠樹と乃理はしゃがみ、
「0!」
氷と苦無が周りを薙ぎ払う。敵は出てこないで、ガードに専念したみたい。でも、それじゃあ攻撃は間に合わない! 下から壁がせりあがる。敵の攻撃は間に合わず、すべてを壁で防いだ。
「で、これからどうするのかな? ドーム状に防御用の壁を張ってもらったけど、このままじゃ外に出れないよ」
「ん? それなら良い手があるよ」
「そうなのですか? っていつの間にか、千代さんがいません」
あれ確かに。どこ行ったんだろう? ってそうか、外に出て暗殺だろうね。
「いや私の話聞いてよ。まず、アミにこの巻物を渡すよ。はい」
「なにこれ? まあ貰える物は貰うけど」
「で、紙に書かれている線通りに指、または目線でなぞって」
「全部で……5本? 3本なぞるしかできないよ」
「ならそれでいいよ。あと、数え方は巻ね」
「了解!」
「じゃあ、ここに、千代から合図が来るはずだから、来たら壁を解いて」
「分かりました。っていつの間にそんな作戦を立ててたのですか」
「いやー、今立てたんだけど、念話で外に出たって聞いたから、立てたんだ」
「この巻物は?」
「ごめん、渡すの忘れていたんだ」
……えー。あ、端末に反応あり。千代からだ。巻物を起動って事は、これが合図だね。なら、指と目線で巻物の線をなぞって、
「きゃうー」
「バウ!」
「シュシュ」
あ、この前配下に入れた魔物たちだ。ってことはこれ召喚の巻物かな? 出たのは、ドーリ、コナン、マムルだね。
「こっちも召喚できたよ。壁も消してくれたし反撃だよ!」
って何か珠樹は、大きな生物出しているよ。なんだろう?
「キメラ?」
キメラが飛び出して、攻撃を開始、それに続くように、私の配下たちも攻撃を開始。敵は壁を解除するために近づいて来ていたみたいで、みんな驚き戸惑っている。って、皆人間だね。変な鎧を着ているけど何だろう?
「あれは、鵺って言うんだ。日本のキメラっていうところかな?」
「へーってそっちだったんだ。て言うか、うちの子と鵺、強すぎない?」
普通にマムルが木斬ってるし、ドーリは火の球吐いているし、コナンはなんか恐怖で、かな? 寒気がしてきたし。鵺なんて、なんか巨大化して手が付けれなくなっているし。
「私たち待っているだけでよさそうだね」
それを言いつつ珠樹を見たら、何か汗をかいているみたい。どうして?
「ん? ああ、不思議そうな顔してるけど、あの魔物たち、あそこまで強いの私が補助しているからだよ」
「へー、じゃあ、私も戦った方がいいのかな?」
「とりあえず、氷の壁張っておくことをお勧めするよ」
「分かった」
皆を守るように氷の壁を展開。その瞬間に、火の玉が殺到して、
「ありがとうございます。アミ様、珠樹様。今日は後6回しか壁を展開できないので助かりました」
「え、あれって制約あるの」
「ええ、なので、戦闘は日に最高で10回までにしていただきたいです」
「分かったよ」
そんな会話をしているうちに、敵は全滅していた。そしてここに、千代が戻ってきて、
「死者はゼロにござる。ただ、皆怪我をして動けないようでござる」
「え、っと此処の人たちは何なのかな?」
「悪魔憑きだと思うよ。だってあの村以外の所に住んでいるのは、悪魔憑きの理性を失っていた人たちとあと一人だけだからね。集団ってことは、悪魔憑きの人たちだよ。この森に入っていってて、今は理性を取り戻しているはずだから、なんで襲ってきたかは分からないかな」
「じゃあ助けるかな。みんな治療してあげようか」
「残念ながら、治療が得意な仲間がいないよ。乃理なら包帯ぐらいは巻けるだろうけど」
そうなんだ、回復魔術を持っている仲間いないんだ。たしかに、珠樹の言うとおり、乃理なら包帯ぐらい持ってそうだし、巻けそうだけど
「あ、それなら、皆様用に持ってきていた、回復の湿布がありますよ」
「ありがとう、準備いいね。じゃあ、皆に貼ってあげよう」
「「「おー」」」
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