3章

第1話 リーダー

リーダー




「なんで私が、この捜索部隊に、それもリーダーなんかにならなきゃいけないんだよ!」


草原を進んでいるんだけど、どうしても愚痴が出てしまう。


「アミちゃん、それ10回目だよ」


「そうですよ、アミ様。リーダーいいじゃないですか。元々我ら悪魔憑きのリーダーなのですから」


「そうだけど……」


でも、嫌なんだよ。珠樹がやればいいのに。まあ乃理が言うとおり、悪魔の将軍だけどさ、責任を持つのが、それにリーダーなら皆を守らないといけない。そんなの無理だよ。そんなの無茶だよ。こんな言葉をさっきから飲み込み続けているんだけど、


「まあ、私もそれなりにフォローするから大丈夫だと思っていてよ」


「その言い方だと、不安しかないよ!]


「ごめん、ごめん。でも、私も自身がないんだ。私弱いからね」


思わず珠樹を見てしまう。


「え、珠樹って弱いの?」


「うん、私は補助系の魔術が得意なんだ。後重力系かな」


「じゃ、じゃあ、前線は」


「うん、乃理に任せるしかないかな」


「え」


あ、乃理が絶望的な顔している。悪いけど、私は前線じゃなくてよかった。少し安堵してしまった。


「拙者も前線のほうがいいのではござらんか? 拙者、この中では前線を務めたほうがいいかと思うでござる」


「まあそこは、アミリーダーが決めることだから、なんにもいえないけど、でも奇襲役もいるかなって思うよ。どうかな、アミ?」


「私にふらないでー」


ああ、分かんない解んない。


「まあ、決める練習だと思って、やってみたら?」


「う、うん。じゃあ、えーっと、じゃあ、奇襲役ってことでいいかな?」


「承知。では拙者は隠れて付いて行くでござる」


「あ、そこまでしなくていいよ。索敵は、神奈から借りたこのデバイスでできるし、これで見つけたら、隠密に入ってもらえればいいよ」


「承知。では、一緒にいるでござる」


「あのー、私めの言葉も聞いていただければ幸いなのですが」


「そうだよ、乃理の意見も聞かないと!」


「ありがとうございます、アミ様。では、私めは前衛を務められる自信がありません。まず前衛で役に立てれるスキルがありま……まさか、あのスキルですか?」


ん、思いたるスキルがあるのかな? って、あのスキルかな?


「ああ、あの壁を作っていたやつかな?」

「その通り。あのスキルで、皆を守れないかなって思たんだけど、どうかな?」


珠樹の言うとおり、それはそれで強そうかなっと思うけど、だまっとこ。


「そうでござるな。たしかにその能力なら優位に立ち回れると思うでござるよ」


「そうですが……はい解りました。ではその陣形で参りましょう」


「あ、そういえば、千代のスキルって何なのかな? 私気になるよ」


「拙者の能力は、気配遮断にござる。獣には気取られぬ自信があるでござる」


「そうなんだ、じゃあ、人相手はどうなんだい?」


「それも基本大丈夫でござる。ただ、相手も気配遮断や、似た能力の場合は見つかるでござる。あと索敵能力を持っている場合も見つかるでござる」


「へーって、索敵の方が優先度高いんだね」


「けど、例外は存在するよ」


「そうなのでござるか? 珠樹殿」


「うん。私の知っているのは、存在隠匿っていう能力で、その能力はね、索敵、撮影、記憶、記録に残らないっていうチート能力なんだよね」


「へーそんな能力を持っている人もいるんだ」


あれ、そういえば、なんか忘れていることがあるような……。あ、あれかな。海の中の神殿で、戦った時、


「前、夢の中で戦った時の事なんだけど」


「ああ、夢で体が変わるってやつだね。たしか鬼って呼称だったけど、たしか、皐文が持って行っているんだよね」


「うん、で、その時、皐文の声で、皆動き止めたことあったけど、あれおかしいよね? たしかに、皐文たちの故郷だって聞いたけど、でも、15歳ぐらいの知り合いなんていないんでしょ?」


「そりゃあ、そうだね。まあ、詳しく皐文に聞いてみないとわからないけど、おそらく、ヴィーナスさんか、お兄ちゃんだね」


「え、その能力を持っているのは、珠樹様のお兄様なのですか」


「うん、そうだよ。まあお兄ちゃんのせいでこの世界にいるんだけどね」


「え? どういう事?」


「この世界を見つけて、この世界に私たちを送ったのはお兄ちゃんなんだ。だから、恨みもあるし、恩義もあるよ。おっと、あの森超えたほうがよさそうかな? ほかに道も無いし」


「けど、森には魔獣がいっぱいいるって」


「まあ、お試しに、やばくなったら、逃げればいいかなっと思うよ」


「いや、全力を出すとか言おうよ、そこは」


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