第16話 戦いの後
戦いの後
「あ、あたしは、紫波と文の元に帰るよ。じゃ、じゃあ」
「ちょっと待って! 今文って言った?」
「ひ! い、言ったけど」
あ、あれ? さっきまで強気だった、雛が、怯えている? 確かに戦い外だと何かオドオドした雰囲気だけど、そういえば、真井は文に会いたいって話になったんだよね。
「私もついて行くわ」
「わ、分かったよ。だっ、だから肩から手を離して!」
「そういう訳だから、またね。アミ、杉谷さん!」
「うん、またね」
「ありがとう、貴女のおかげで、助かりましたわ。また会いましょう」
そうして私たちは別れて、マンマルちゃんが人を解放して撤退している町の中を歩き、港に帰りついた。
「お、時間通りだったね。おかえり」
「うわ! っと皐文。ただいま」
皐文が暗がりの中から現れた。まあ、忍びだから闇の中とか好むのかなとは思っていたけどびっくりしたよ。
「え、皐文さんってあの、悪魔事件の時の英雄で、四将軍暗殺事件の時に四将軍のうちの一人を倒したっていう?」
「よく知っているね」
なぜか、杉谷さんがすごく驚いている。なんで?
「ええ、友達にこっそりとよく聞かされましたから。でも、貴女たちは死んだことになっているはずですが、私が見ているのは幽霊?」
「そうだね、僕たちは殺されたことになっているよ。でも、本当は、異世界に飛ばされていたんだ。でも出てこれるのは僕と、そこにいる、アミだけ。で、今は皆を元の世界に戻すために、動いているんだ。っと喋りすぎた」
「え、ってことは、珠樹さんも生きているってことですか? それなら奈波さんにお伝え……」
杉谷さんの顔が、すっと暗い顔に変わった。どうしたんだろう?
「どうしたんだい?」
「奈波はもうこの町にはいませんの。どうすれば」
「なら追いかけるしかないよね」
私は考えもなしにそう言う。簡単に言ってしまった。
「それができませんの。何処に行ったのか分かりません。分かりませんの!」
「……それなら私に任せてくれるかな」
これは、ホログラム? いきなり、目の前に白衣で茶髪ポニテの少女が現れた。
「あなたは?」
「……私は文。紀光 文だよ。で、奈波って子なら私の所に来て、エルピスを探すって言っててね、私はそれを送り出したんだけどね、こっそり発信機を付けといたんだ」
「じゃあ何処にいるのか分かりますのね!」
「……うん、同じ世界にいればだけどね。だから君も違う世界に行くのが吉だね」
「行きますわ! あの子に追いつくために!」
「……じゃあ、先ずは最良世界だね。私が送って行くよ」
「え? 良いんですの?」
「……ああ、いいよ。じゃあ、皐文、私は行くよ」
「うん、じゃあ僕から、君に一つ餞別だよ。このメモリーを渡すよ。神奈が作った、強化パーツさ」
「……ありがとう」
二人は旅立った。私たちは時間が来たようで、私は眠くなり、皐文に捕まって、世界を超えた。
起きると、そこは昨日寝た部屋で、今回はルンルン気分で下に降りた。すると、いつの間にか、看板が立てられており、そこに人だかりができていた。遠目で見ると、看板には、
遠征の決定。遠征メンバーはこちら。
飯野 珠樹
葛西 乃理
百地 千代
アミホーネット
って書かれていた。
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