第9話 マンマルちゃん
マンマルちゃん
目を覚ますとそこは、見たことがある場所だった。でもみたことがあると言っても、行ったことのある場所ではない。本か、ネットで見たかも? という話だ。
「たしか、回避の修行が終わって、ついてきてくれた魔物達を研究所の下に預けた後、部屋に戻ったんだよね。それで、なんで此処に? ってああそうだった。私、寝たら鬼に成るんだっけ?」
手を見る、うんやっぱり赤いね。髪も白くなっているし。と言うかさっきからドンパチ音が聞こえる。
「あ~、ごめん、アミ。早く起きないと死ぬよ」
慌てて起き上がって、声の主を見ると、やっぱり、
「皐文、どういう事? と言うかここ何処?見覚えがある気がするし、でも知らないとも思うんだ」
「ここは、僕と、珠樹、神奈、代美が生まれ育った町だよ。今回はこの町にいる、紀光の子を助けに来たんだ。と言っても、もう戦いは始まっているから、遅れての参戦になるけど」
「分かったよ。で、私に拒否権は無いんだよね」
「そうだね、拒否した場合、君の鬼人形はそこらへんに放置されて、どうなるか分からない。一緒に戦ってくれたら、君の鬼人形の安全は保障するよ」
いつの間にか、この肉体の名前、鬼人形になっているよ。
「了解。で、簡単な勢力図とどこに加担すればいいか教えてくれないかな?」
「とりあえずここから逃げるよ」
そう言われ、続いて走り出すと、今までいた所に、爆弾の様な物が落ち、私たちはめいいっぱい地面を蹴った。しかし、爆発せず、
「爆弾にしてはデカくない?」
「いやこれは爆弾じゃないよ。これは。なんだろね。とりあえず潰すよ」
その言葉と共に皐文の姿は消えた。それを見るように私は爆弾のほうに振り返る。そこには爆弾が足を出して、動き出そうとしていた。しかし瞬間、兵器が音を立てて足から崩れた。その上に忍び刀を振り下ろした皐文がいる。
「ど、どうやったの」
「魔力障壁があったみたいだから、その上からぶった切ったんだ。魔力障壁なら僕には効かないからね。魔力障壁を貫いて、電力と魔力タンクを潰したんだよ」
「いや、なんで、魔力障壁を貫通できるのさ」
「ああ、君に言ってなかったっけ? 僕は、魔力吸収出来るんだ。まあ昔は制御できなくて、刀に頼っていたんだけど、今は自力でもなんとかできるようになったんだ」
「そんな能力もあるんだ! ってことは、基本的にはこれを潰すのは困難なんだね」
「その通りだよ。で、これから、紀光 文って人に連絡入れるからちょっと待ってね」
そう言うと、皐文は手を耳に当てて、連絡を開始した。
「ああ文かい? 今どんな戦況だい? ん、成程、じゃあ僕たちはその親玉のゴトをたお、
え、うん、確かにそっちを僕たちがやっつけたほうが良いね。分かったよ」
ん、此方に向かってくる人がいる。兵器から逃げているみたいだね。なら助けるかな。力任せに殴り、吹き飛ばし、遠ざける。その逃げてきた少女はそこにへたり込み、息を整えている。
「大丈夫かな」
「え、ええ、すこし、休憩、させて」
少女は、深呼吸をした後、
「ところで、あなた達は、ふう! この町の住人かしら?」
「私は違うよ。けど、皐文はここに住んでたって言ってたよ」
「と言っても、10年以上前だけどね」
「あんた何歳よ」
「聞いて驚け、今25歳だよ」
「へ? この子頭でも」
「ごめん本当なんだよ。年を取らない空間にいたらしいからね」
「なにその神空間!」
「けど、僕たち以外は外に出られないけどね」
「なにその悪夢空間! ってそれはいいんだけど、じゃああなた達は知らないわよね」
「ん? 何をだい?」
「私、
そんな会話をしていると、また、兵器が現れた。それも三機も。
「ど、どうしよう」
少女は慌てふためいていて、皐文は、
「まあ僕に任せてよ。あ、アミは、一機は叩き飛ばしてね」
余裕綽々だった。
「了解」
私は、今すぐ襲って来そうな、何かしようとして、ビームを出している兵器を思いっきり殴った。すると私の力に耐えられず、町の端の方へと飛んでいった。
「皐文の方はどう?」
皐文は、いつの間にか現れた一機とさっきからいた二機計三機を倒していた。そして、マンマルちゃん中から、人が排出されていた。
「大丈夫だよ。で、君は、大丈夫かい?」
捕まっていた人は、目を覚ましたような感じで、目をこすったり、伸びをしたりしている。その青髪の人が、
「ここは何処だい? 僕は捕まったの……いやここは外だね。という事は助かったのかな?」
「うん、僕が、あの兵器をやっつけたよ」
「どうやってマンマルちゃんをやっつけたんだい? あれって、魔力障壁と物理障壁があるから、基本突破不可能なのに」
「僕は、魔力吸収能力持ちだからね、簡単に壊せるよ。ってあれマンマルちゃんっていうのかい? かわいい名前だね」
「成程、あいつらやっつけれるのは、魔吸だけじゃないんだね」
「へ、魔吸知っているんだ。確かにレプリカもあるからね。知っていても無理はないか。まあ本物は僕が持っているんだけどね」
「へ、ああ、確かに、式の持っているのはレプリカだって、文も言ってたよ」
「成程。君、後で文の元へ案内してくれるかい? あいつ、何処に居るのか教えてくれないんだ」
「わ、私もお願いできるかしら。その人なら、福留先輩の居場所を知ってるかも」
そう言えばこの人忘れていたよ。皐文さんも忘れていたみたいで、
「あー、君名前なんだっけ?」
「私? 私は真井 ピコよ」
「ピコ? あの人と一緒の名前だ。まあいいや。君は?」
「僕は、青井 皐月。君たちは?」
「僕は日向 皐文だよ。こっちは」
「アミ・ホーネットだよ。宜しくね」
「で、福留って誰なんだい?」
「私の師匠よ。でも、数年前に此処の町に来て、消息が分からなくなっていたの」
「なるほど、それで、この町に住んでいる人を探していたんだね。それなら文が一番知っていると思うよ」
「じゃあ今は、この状況を切り抜けるしかないわね」
「了解」
四人で突っ立って会話していたら、囲まれていた。私は一機を殴り飛ばし、残りの三機を皐文が斬って破壊した。
「僕たちは、この近くに現れたっていう悪魔憑きを仲間に引き込む、あるいは退治するよ、だけど、君たちがまたマンマルちゃんに襲われたら、どうしようもないよね。だから、安全な場所まで、送るよ」
皐文がまた勝手に約束している。って、悪魔憑きがいるの? ぜひ仲間にしたいね。
「大丈夫! と言いたいところだけど、やっぱりあいつらには勝てないね。だからお願いするよ。町の港に停泊している船までお願い出来るかい?」
「うん、いいよ真井と、アミもそれでいいよね」
「ええ、お願いするわ。こんなんじゃ師匠探しもできないものね」
「うん、私は皐文についていくだけだもん」
私たちは港のほうに向かって走り出した。
「ところで、あの兵器、マンマルちゃんってどういう構造なんだい?」
「うん、僕が考えた安全な兵器のはずだったんだけどね」
「え、でも敵になっているけどどうして? 暴走でもした?」
「違うんだ。あのマンマルちゃんは、僕たちの敵が勝手に作った物だ。主装備は、人間を圧縮して閉じ込める用為の光線だよ。ちなみにあれの中に、30人ほど収容するよ」
「どうやってぇ!」
「圧縮するんだよ」
「ええ~人間をそんな扱いなんて!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます