第8話 歓迎会の後に

 歓迎会の後に


夢の中、だと思う。何故か、と言われると、白い空間に私が悪魔だと認識している者が、私の前にいるからだ。


「あなたは、私に憑いている悪魔よね?」


「ああ、そうだ。俺だよ俺」


「何の用なの」


「いやなに、プレゼントをあげようと思ってだな。どうだ? 欲しいか? 欲しいよな。なんてったってプレゼントだぜ」


「どうせ、ロクでもない物なんでしょ」


「ヒャヒャヒャ、いらねえのか? せっかく用意したのによお。それに何故、悪いものだと思ったんだ? 俺はお前に害したことないだろ」


そういわれてみれば、何故? こいつが悪魔だから? それとも、信用をできないようなことあったんだっけ? 分からない。


「答えられねえか。しょうがねえな。これやるから、元気出せ。な?」


……いらないかな。




周りはみんな寝静まっていた。私はドリンクを飲まずにいたから大丈夫だ。このドリンクには睡眠薬を調合した。何故入れたかと言うと、私はある事に加担しているからだ。それは、


 「首謀者が何寝ているのですか?」


と木下を叩く、阿呆ですか。何で首謀者がドリンク飲んでるのですか。予定では、ここで、コカトリスが襲ってきて、木下が倒し、ヒーローになるはずだった。カリスマが足りませんので、少しでもカリスマを付けるように、彼自身が建てた計画なのですが。

皆が目を覚ますまで、後10分。コカトリスの群れが来るまで、後5分。誰も起きるわけがない。ならば、


「はあ、しょうがないですね。私がやりますか」


他に動く影もない、寝ていないのは私だけ。ならば、私は、圧縮して持ち歩いている武器、マシンガンを解凍し、そのまま森の方に向かう。もちろんマシンガンは何時でも撃てるようにして。森周辺まで来たが、まで飛び出してくる気配は無い。ならば、壁を作ろう。そう考え、私の能力である、


「壁生成範囲設定、10メートル。私から見て垂直に、生成開始」


これでいい筈です。そして見えた。コカトリスの群れだ。


「おや? 猛殿は?」


「あちらでお休みです。私の睡眠薬入りジュースで」


「飲ませたのか?」


「勝手に」


「成程、なら二人で食い止める」


「ええ」


コカトリス達を此方に走らせて来てくれていた、百地 千代が帰ってきた。これなら、


「まず私がコカトリス達をマシンガンで牽制します。跳び上がった者を手裏剣で撃ち落としてください」


「承知」


最初に森を抜けてきたコカトリスはマシンガンでハチの巣にした。二羽目が来るかと思ったら、


「へ?」


残り5羽が並走しながら此方に突っ込んできた。出来る限り弾をばらまく。それでも跳んだり、避けたりでうまく当たらない。

飛んだコカトリスに千代が手裏剣を投げるが、目と喉をつぶすだけで、動きが止まらない。そろそろ吐息がかかる距離、あれに触れると、死ぬ。私達は5回までなら生き返るが、それでも、


「乃理殿! 右から来てます。申し訳無いでござる。コカトリスは全部で7羽いたでござる」


手裏剣が、私の右に飛ぶ。そちらを見ると、そちらにも、コカトリスがいた。


「千代、そちらを頼んでもよろしいですか?」


「承知」


正面に向き直る。4羽がまだこちらに向かって来ている。? 4羽? 1羽どこ行ったのでしょうか? そう考えつつもマシンガンを撃ち続ける。

隣で血しぶきが上がる。


「ぐぁあああああイタイイタイ!」


そちらに目をそらすと、右手がもがれて、腹を趾で押さえつけられて、仰向けに倒れている、千代の姿があった。助けませんと! マシンガンをそちらに向ける。しかし、背中を何かで刺され、前に倒れ込んだ。


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