第7話 歓迎会
歓迎会
乃理と共に話しながら、会場に向かっている。そこは、丘の上の草原だった。村も見える場所で、その逆には森も見える。森を正面にすると、左側に川も見える。そして森の奥には、山が見えた。結構見通しのいい場所だね。
「本当はあの森の向こうに見える、山の上で開催したかったのですが、夜になるなら、山の上は危ないと言われまして、なので、ここでの開催となりました。皆準備はできているようですね?」
「おう!」
「ええ」
「出来てるよ」
皆が一斉に返事する。皆、嬉しそうにしている。私歓迎されているんだ。嬉しいな。
「では、アミ様から一言と言いたいところですが、歓迎される側が一言というのも、おかしいので、まずは今まで悪魔憑きを仕切っていた、木下様。宜しくお願いします」
「あー、紹介に与った、木下です。本日はお日柄もよく……」
長くなりそうだな。そう感じた。これが校長の挨拶みたいなものなのかな? あ、欠伸でそう。
「ふぁ~」
誰か欠伸したね。けど、木下は喋ることをやめない。
「おーい、木下! 話し長いぞ」
あ、打たれた。
「痛いぞ! シュー。何するんだ!」
「お前の話長いな! 皆だれてるぞ。早く締めろ」
木下は周りを見渡している。欠伸している者、こっそりジュースをチビチビ飲んでいる者、もはや他の人と話している者までいた。まあ私もきょろきょろして、話なんて聞いてないけどね!
「じゃあ、乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
皆、ジュースを飲みだした。私も皆と共にジュースを飲む。あ、これ美味しい。何のジュースだろう?
「ねえ、乃理。このジュース何のジュースなのかな?」
「はい、これはリンゴのジュースです」
「へー、美味しいね」
「それはよかったです。頑張って作った甲斐がありました」
「へー。いつ作ったの?」
「アミ様がこの世界に来る前に作ってました。ジュースを作るのが私の仕事ですので」
「あ、じゃあ在庫を出したんだ。なんか申し訳ないね」
「いいえ、前から少し作りすぎでしたので大丈夫ですよ。それにアミ様が修業されている間にも少し作れましたので、問題はありません」
「もし、大変なら、私も手伝おうかなと思ったけど、心配ないかな?」
「ええ、大丈夫です。それはそうと、お皿を取って参りました。」
お皿が渡された。その上にはお肉があり、見た感じ、チキンの照り焼き。美味しそうな匂いもするし、パクリと一口。
「美味しい! ピリッとした感じが、肉にしみていて、少し甘くて、それでいて、うまみがすごい! これどんな味付けしたの?」
「えーっとこれはですね、シューが作った物ですね。そこにいるので聞いてみましょう。シューさん」
あ、さっき木下を叩いてた女の子だ。眼鏡をかけており、黒髪をポニテに結っていて、少しおしゃれな白衣を着ている。紀光 夜永と比べると毛は艶やかで、背は高く、目はきつい。
「お、乃理か。っとそちらはホーネットか。初めましてだな。あたしは
「宜しくね。知っているとは思うけど私も自己紹介を、アミ・ホーネットだよ。で、これはどんな味付けなの?」
「ああ、それか? 普通に照り焼きだが? 片栗粉、塩、胡椒、醤油にみりん、酒、砂糖で味付けした、普通の……ああ、普通じゃないのは、使っている肉が、コカトリスの肉ってところだな」
「でもコカトリスって、たしか見られたら死ぬんだよね?」
「当たりだ。だから、あたしたちが狩りをするんだ」
「どういう事?」
「あたしたちは復活スキルを持つ。一日の間なら、5回まで死んでも生き返るというやつだ」
「あ、それか、確か、復活は私も持っているよ。確かその後に666ってついてたけど」
けど私の基本能力似なかったのは納得いかないけど、それでも、復活がついているから、私もこの人達と仲間なんだと思い嬉しく思う。
あれ? なんかシューさんが、めっちゃ目を光らせているんだけど?
「復活666! 本当か? それは凄いな! そのスキルはたしか悪魔のリーダーの中でも優れた者にしか現れないスキルなんだ。その上、それを顕現させるのに、六千年かかると言われている。余程悪魔と相反する力の持ち主でも、その年月を早められない。神力を稀に持っている人の倍持ってないと、1年で復活666は顕現させられないだろう。っという事は、ホーネットは、神力を持っているのか?」
「そうなんだ! 私は神力なんて持ってないよ。でも、それが隠匿能力で出たってことはどういう事なんだろう?」
「隠匿能力というのがよく解らないんだが」
「解らないけど、神奈や、詩織さん、珠樹達なら何か知ってそうだったよ」
「なら聞いて来る」
シューはコップと皿を乃理に渡すと、そのまま走って行ってしまった。場所は分かっているのかな?
「そういえば、此処でゲームとかは出来ないのかな?」
無いのだろうなぁ、とチビチビとジュースを飲む。
「物にもよりますね。オンラインゲームは基本不可、オフラインゲームは皐文さんに頼めば、買って来てくれますよ」
やっぱり、無理かー。
「じゃあ、乱戦魔術部隊は出来ないんだね」
思わず大きなため息が出る。
「あ、それがたしか、オンライン出来る例外ですね。そのゲームだけは、此処にメインサーバーが有るので出来るそうですよ」
「ほへ? マジ?」
「マジです」
「やった! 私、乱戦魔術部隊で、トッププレイヤーの一人なんだよ! 良かった!」
んん? そういえば、さっき聞き逃しちゃ行けないことを言っていたような。
「メインサーバーここにあるの? ってことは運営がここにいるってことだよね。会いたい!」
しかし、乃理は首を横に振り、
「運営している人にはあったことありませんね。お役に立てず申し訳ございません」
まあ、しょうがないよね。けど、神のような人に近づいただけで、上々かな。
「貴重な情報ありがとうね。ふぁあああああ」
欠伸が出た。どうやら今日はいろいろあり過ぎて疲れてしまったようだ。周りも皆その場で寝ている。だから、私も、
「お休みー」
寝ようと思う。
「ちょっ……さま……ここ……さい!」
乃理が何か言っているが、眠たくて耳に……。
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