第2話 転送完了

転送完了


ふぎゅー、クラクラするー。思わず手を離し、尻餅をついた。

「あ、ごめん。移動酔いしたかな?」

「う、うん。頭がぁぁぁ」

横になり、深呼吸。ふぅ。少しマシになったかな? 緑の匂いが気持ちいいな。

「将軍様お会いしとうございました!」

へ、何事? 時代劇かな? 頭を上げて周りを見渡す。あれ私囲まれてない? ど、どういう事? 皆、角が生えている。そして、私に向かって、頭を垂れている。なんで?

「よく来たな。俺の僕達、おや? 90人程足りんようだが?」

へ? な、何? 口が勝手に開いた? 私はこんな事思ってない、口に出して無いよ! その問いかけに、目の前にいる、三本角の同い年ぐらいの男の子が答えた。

「はっ! 将軍様、60人は悪魔との相性が悪く暴走、放置して問題ないかと思います。後の36人は、まだこちらの世界に来ておりません」

将軍? 私が? それに暴走? 何の話か分からない。でも放っておけない。

「ならばそいつらは、放って」

すべての意識を口に集中させる。動け、動け、頼むから思い通りに動いて!

「おけないよ! まったく、私の口で勝手に何喋っているんだよ」

やった! 声が出た。

『ふーん、俺の力を抑え込むか。おもしれえなぁ。なら、これはどうだ?』

頭の中に声が響く。うっ、何か、気持ち悪い! 心買い歪むようで、捻じれる様で、裂けるようだ。気持ち悪い、気持ち悪い! 気持ち悪いぃぃぃ! まるで心の中に何か異物が入ってきているみたい! 気持ち悪さに思わず倒れ込む。しかしどうしようもない。あ、少しマシになってきた。ん、なに? これ

私は親友を気遣いながら素直になれえず、他の人と仲良くなっていって、私は高圧的な態度をとってしまう。教会でお祈りしていると、悪魔が現れ、連れ去らわれた。そこで親を殺され、親友が気を失っていて、それを庇ったこと、その親友が町を救った時、私は悪魔に魅入られ、その結末は見られなかったが。その後、親の仇と戦い、悪魔の体支配率の方が高くなり、親友の仲間と戦ったこともあった。そして、町を壊滅まで追い込んだ私を助けてくれたのも親友だった。そして、最後親友がいなくなった世界で、私は親友がいなくなったことすら気付かず死んだ。

「うげぇええええ」

情報量が多い、多すぎる! 気分が悪くなり吐き気がした。実際には吐くことはなく、声が出ただけだが。今のは幻覚? 妄想? それとも記憶?

「わ、私はこんな幻覚に屈しない! それに私に友はいない!」

『友達がいねえとか、そんな寂しいこと言うなよ。それにしても、精神融合してもなお自我を保つか。おもしれえな! お前に主導権をやろう。ついでだ、いい事を教えてやろう。お前の中には2つ、余計な魂が紛れ込んでいる。一つは俺として、もう一つは何だろうなあ?』

「いや、それ意地悪でしょ」

『ヒャヒャヒャヒャ、そうだな! それより見ろよ。あいつらポカンとしてるぜ。なんか言ってやれよお前はこいつらのリーダーなんだから』

確かに、周りの人たちはポカーンと口を開けている。何か何か、言葉が思いつかない。

「へー。君が悪魔達の将軍だったんだね。まあ確かに暴れているのは60名で、その内保護しているのは、30名なんだ。じゃあ、後、30名探すの手伝ってくれないかな?」

「確かに、それは放っておけないよ、分かった、私が何とかするよ」

「ありがとうね。えーっと、ごめん、名前忘れちゃった。神奈と夜永にちゃんと教えてもらったんだけどね」

「アミ・ホーネットだよ。宜しくね。あなたはたしか皐文だっけ?」

「うん、日向 皐文だよ、宜しくね! まあ僕の名前はそんなに憶えていなくていいけどね。この世での仕事はあまりないからね、大体家に居るもん。っと来たかな?」

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