夢鬼と悪魔憑きの少女
月読雨月
第1話 逃走者
6つの世界では不思議現象が3つ起きていた。一つは忽然と姿を消す角の生えた子供達。一つは貧困層に金を渡す謎の放浪者。最後の一つは紀光保護所から帰ってきた少女達が各世界で、戦いを始めたこと。その三つだ。この話は、その不思議の一つの物語である。
逃走者
「お父さんの馬鹿!」
家から出て、10分、フードをすっぽりかぶり、路地裏でしゃがみ込み悪態をついた。泣きたい。てかほぼ泣いている。何故角が生えただけで、お父さんはあんな怖い顔をしたのかな? なんで角なんか生えたのかな。息も整ってきたも少し遠くに行こう。
「おい、見つけたか?」
「いや、ここらには居なさそうだ。怪しいのは、ここの路地裏だけだな。何故あの父親は逃してしまったんだ。娘ぐらいちゃんと言う事聞かせろって話だな。それに逃げた子は引きこもりだったって話だ。そんな遠くには逃げれられないだろうよ」
静かな道にそんな会話が飛び込んでくる。逃げなきゃ。でもどこに? 逆方向の道に逃げよう。怪しまれないように歩きながらその場を去った。多分あの子とは私のことなんだと思う。でも追われる理由はないんじゃないかな? よしここまでくれば、人込みに紛れれば。
「え?」
それは私の家の方に浮いていた。あれは、極悪人が出た時に使う犯罪者の印、皆が逃げ出し、警官隊、軍などが来る為の印だ。何で家に? もしかして、家に犯罪者が来たってこと? 今のこの力があれば、お父さんとお母さんを助けられるかも!
「すいませんとおります! ハアハア! すいません!」
家の前に着いた。で、お父さんとお母さんは? って連行されている? 手錠が掛けられ、軍用車両に乗せられそうだ。私がここで、フードを取ってあそこに駆け寄れば両親は助かるかな? フードに手をかける。そこで、お母さんと目があった。こっちを見て首を横に振る。外すなと、けど私が助けれるから問題ない! だからフードを、
「……やめたほうが良い、殺されるぞ」
フードの上から頭を押さえつけられ、下せない。周りに何かせり上がってくる。なんなんだよこれ! あ、頭の上から力が取り除かれる。やっと周りを見渡せたよ。で、ここどこ? 私は一番高い場所にある席に座っていた。そして私の前の機械が沢山ある席にも人が乗っている。そして周りが振動を開始した。
「ここは何処? これは何? お父さんとお母さんは!」
「……質問が多いな、まあ当たり前か。先ず、吾輩は君を助けた、名は夜永だ。で、これは戦車の中だ。最後に、君の両親はただ拘束されただけだ。君を逃がす、それが吾輩の使命だ」
「どういう事? 誰かに頼まれたの?」
「……慈善事業だと思ってくれて構わない。ただ打算的ではあるがな」
「助けなんて頼んでない! そんな事よりお父さんとお母さんを助けないと! あれ? ハッチ押しても開かないんだけど!」
「……君の安全のためだ。親を助けるのはあきらめたほうが良い」
「でも助けに行かないと! 殺されるかも!」
「……それはない。君を取り逃したぐらいで殺されるわけがない。拘束が関の山だろう」
「それでも助けに行かないと!」
「……君が行ったとして、助けられるのか? 逃亡先は? それに失敗した場合、君は間違いなく死ぬか、死ぬほど酷い目に合う」
「あなたは助けてくれないのかな」
「ああ無理だ。っと着いたぞ」
「でも! 何とかしないと!」
「……君が逃げるのが、とかなる方法なんだ。解れ」
「わ、分かったよぉ。で、私は何処に逃げるの」
「……7つ目の世界、何もない世界だ。まあここでは無名の話だろうけど」
「でも、この世は6つの世界で構成されているって先生が言ってたよ」
「……いや7つだ。何もない世界は知られていいないからな。それにあの世界から出てこれるものは、基本居ないしな」
ハッチが開くようになった。そっと開けると、大きな船の中にいた。上を見上げると、魔術師や、戦闘機等が空を覆っているのが解る。魔術師は戦闘機を撃ち戦闘機は魔術師を撃つ。そんな戦場が私の前に広がっていた。
「へ? えっえっ? 何?」
「君への追跡部隊だ。まあここまでくれば安心だ」
「そんな! 私の住んでた町が戦場になるなんて! これ、私のせい?」
「いや、攻めてきた奴のせいだろ。君は悪くないよ。何でも自分のせいだと思うのは良くないよ。それに、そこに人為が係わっているんだから、尚更君のせいじゃないよね」
「でも」
ん? 何か違う方から違う声が聞こえたような。
「……来たか、今の所唯一の例外」
「おひさだね、夜永。で、この子が悪魔憑きかな?」
「……そうだ皐文。この子だ名前は確か……アミ、アミ・ホーネットだ」
眼鏡をかけた茶髪で髪をポニーテールにしているが、その先はボサボサになっており、背中ぐらいまで伸びている。ぶかぶかな白衣の私と同い年ぐらいの女の子が恐らく夜永だと思う。そして今までいなかった、黒めの服を着ている、銀髪ショートで、後ろの一部分だけ背中まで伸ばしているこれもまた同い年に見える女の子が皐文かな?
「じゃあ吾輩はこのまま潜水艦に乗り換えて逃げる」
「うん分かったよ。なら僕は一仕事終えたし、このままあっちの世界に戻るよ。さあ、アミ、手をつないで」
これをつかむと戻れなくなる。そう分かってはいるけど、でもこの状態の怖さから逃げられるなら。そう思いてをつかむ。
「じゃあ跳ぶよ」
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