齢5歳 秋
これは私が進級して半年ほど経った頃のお話です。
ある日、皆でAくんの家に集まって遊ぼうという話になりました。園で約束を交わし、家に帰宅後その旨を母親に話しました。すると母親がAくんの家まで送り届けてくれるとのこと。
今日園であったことや、Aくんについての話など他愛もない会話をしながら路地を歩いていたんです。
そのまま歩いていると砂利道が現れました。みなさんも子供の頃なら一度はやったことあるんじゃないでしょうか、砂利道の中から石を拾い、ボールのようにして蹴る遊び。私は石蹴りと呼んでいるんですが、当時私は石蹴り全盛期でして石を見つけては蹴って、石を見つけては蹴っての繰り返しでした。
そんなことをしていると夢中になる余り、母親を見失ってしまいました。
「こっちかな?」と思い歩を進めると、一瞬で雰囲気が変わったのを感じ取ったんです。5歳の私が。その得も言えぬ感覚に腰を抜かすも、その時はまだ、母親について行こうという思いが勝りました。蹴っていた石を拾い上げ、恐る恐るその角先を覗くとその先には血にまみれた殺人鬼が仁王立ちしていました。頭には鋼鉄でできた三角形の無骨な被り物を被り、手には背丈ほどの斧を握ってたのが印象的でしたね。
そしてその殺人鬼の付近に散らばる肉片を見た瞬間、私は悟りました。「私はああなるんだ」と。腰を抜かしへたり込む私のもとへ巨大な斧を引きずりながら距離を縮め来る殺人鬼。その時感じた時間は悠久の時にも等しいものでした。
ついに殺人鬼が目前へとたどり着き、巨大な斧を振りかぶる。恐怖のあまり目を瞑った私に殺人鬼は容赦なく――
夢日記 うゆ @uyu717
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