【4】キャッシュフロー計算書
※こちらの文章は作中に出てきたトピックに関する解説ページとなっております。物語の展開に一切関係ないので、興味のない方は読み飛ばして大丈夫です。
第7話の後に財務諸表の解説として、貸借対照表と損益計算書を説明しました。今回はその財務諸表ひとつであるキャッシュフロー計算書です。
物語の中では散々「現金収支≠利益」という説明をしてきました。必ずしも、企業が設けた分の現金が手元にあるとは限らないわけですね。
かといって、現金の情報価値が乏しいわけではなく、利益に並んで重要な情報になります。結局の所、お金がないと何も買えませんもんね。
そんな現金の流れを計算した書類が「キャッシュ・フロー計算書」です。キャッシュ・フロー計算書では、企業の現金がどのくらい増減したのかを計算しています。キャッシュフローとは現金収支のことで、収入が多ければプラス、支出が多ければマイナスになります。
もちろん「現金収支≠利益」ですので、利益が出ていてもキャッシュフローがマイナスになる場合もあります。その逆もしかりです。
個人で考えても、手元に現金が無かったら何もできませんよね。そのため資金がショートすることは避ける必要があり、ある程度現金の流れを把握しておく必要があるのです。
そして、損益計算書で企業の活動別に利益を区分したように、キャッシュフロー・計算書でも「営業活動」、「投資活動」、「財務活動」別に現金収支を計算します。例によって、牛丼屋を例に見ていきましょう。
・営業活動によるキャッシュフロー
この営業活動によるキャッシュフロー区分には、主に本業によって生じたキャッシュフローが記載されます。また、投資活動と財務活動に区分されないものについても、この区分に記載されます。
牛丼屋で例えると、牛丼の売上代金の回収、牛丼の材料仕入れによる現金支出、人件費の支払いなどがこれに該当します。この区分を見ることで、企業の本業から発生するキャッシュフローを把握することができます。そのため他の区分に比べて重要な指標となるでしょう。
・投資活動によるキャッシュフロー
投資活動とは、企業が将来の利益獲得のために行う固定資産、有価証券等の取得・売却等の活動のことを言います。
つまりこの区分では、企業が本業以外の利益獲得、資金回収活動において、どの程度資金を取得し回収したかが示されます。
よくキャッシュフローがマイナスになっているという事実だけで、会社の業績を低く評価する人がいますが、このような投資活動は企業が拡大していく上で不可欠な活動です。
そのため、利益と違って投資活動のキャッシュフローがマイナスになっていること自体は必ずしも悪いことではありません。むしろ投資をする余裕あるとも言えます。
それよりも重要なことは、会社が現金をどのような投資活動に投下したのかと言うことです。この内訳を見ることで、会社がどのように事業を拡大していくのかが分かるというわけですね。
・財務活動によるキャッシュフロー
財務活動とは、企業が上記2つの活動を維持するためにした、資金の調達・返済活動のことをいいます。
よくあるのが銀行からの借入・返済、株式の発行による伴う収入、配当金の支払いなどですね。これらのような資金調達活動全般が、この区分に記載されます。
これも投資活動で説明した通り、プラスだから良い、マイナスだから悪いとは一概に言えません。
余談ですが、会計の素養が乏しい人はよく「借金は悪いこと」という認識を持ちがちですが、それは間違っています。闇金ウシジマくんの読みすぎです。
確かに借入金には利息がある分、損してしまう感覚があるのは否定しません。
ですが、資金が不足しており投資の選択肢が狭まると、話が変わってきます。
仮に借入金の利率が1%だとして、それを元手に年に4%の利益を獲得できる案件があるのであれば、それは借金をしてでも行ったほうがいいことになります。借入を行なって損するかどうかは、その使い道によるというわけですね。
つまり、借金は善悪で語れ得るものではなく、「中立」というのがふさわしいでしょう。
……話が少し逸れましたが、この財務活動の区分には、企業の資金調達活動による現金の収支が記録されるというわけです。
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