第281話 混沌魔法《カオス・オリジン》
「“デスオーバーロードマキシマム”――っ!」
黒閃を奔らせる。
漆黒の
「アーク君……っ!?」
斬り裂かれて四散していく広域殲滅魔法。
「童、貴様……その姿は……!」
闇の残滓が舞い散る中、この場の誰もが言葉を失っているようだった。
「……これが俺の全力。俺の全て……」
俺の全身から発せられる漆黒の
“
だが、皆が驚いている要因はそれだけではないのだろう。
「我らの力と、人間共の境地を同時に宿すとは……なんと
“
そして、たった今発現した“
確かに人の身でありながら“
尤も、長い歴史の中で俺達のような存在が記されていない以上、例外に例外を重ねれば――という事であるのは、言うまでもないが――。
そして、何故皆がこれほど驚いているのかと言えばだが、それは至極単純。この二つの境地は、それぞれの種族が進化の帰結を見出した究極形態であり、本来相反する力に他ならないからだ。
魔力を体内で循環させる“
魔力を身に纏う“
この力が双方の“種族”が扱うに当たって最善・最強の形態であるという差異は勿論だが、内に留める力と外部に放出する力という
そもそもからして、人間が生まれ持つ魔力性質の中に“闇”がないのだから、俺のようなケースは異端中の異端であって然るべき。
だからこそ、“
「“
「だが、その姿は……」
「多分、
永きに渡って人間と魔族が交わる事はなく、“
ただ一人、運命の悪戯によって導かれた歪な愚者を除いて――。
魔力を必要最低限の容積まで高密度に圧縮、身に纏う鎧として固定化。その上で残存魔力を体内で高速循環させ、増幅・強化する。これこそ俺が行っている事。二つの境地に達した俺だけの形態。恐らくは誰もが想像だにしなかった境地。
それは仮に双方の技術を持ち得ていた者が居たとしても、変わる事はないだろう。いや、誰もが一瞬は脳裏を過らせるが、非現実的すぎて実行しようとすら思わないというのが正しいか。
根本的な所からして、双方の形態の片割れですら発現出来るのは、それぞれの種族の上澄みだけだ。俺やルインさん達が各々の形態を使いこなすに至った軌跡を思い返せば、片方を発現させる事ですら、どれほど困難で危険を伴う行為であるのかは説明するまでもないだろう。
これらを鑑みれば、今の俺がどれほど異端であるのかも明白だ。そして、どれほど無茶をして、どれほど不安定な状態であるのかも――。
「“
「な……消えたッ!?」
“
マルコシアスが反応するよりも速く奴の背後に回り込み、
「貴様……!? この、力は……!?」
黒閃と大剣が激突。
マルコシアスが目を見開き、ジェノさんに戦斧を砕かれた時以上の驚愕を露わにする。
「俺の全て……皆との旅路の果てに得た力だッ!!」
今度は漆黒の刃が押し返される事はない。双翅・
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