第57話

忘れていたが、シンちゃんの事だ。    私と仲違いしてから、クラスも代わり、私はその後彼女とはもう口を聞いた事が無かった。                  だが卒業間近だかその直後に、私は何となく彼女の事がかなり気になった。一年生の時に、しばらくはいつも一緒にいたし、よく ホテルのプールに連れて行って一緒に泳いだりしていた間柄だったのだから。     只、余りの執拗さや束縛や、限度の無い図々しさに、私の方から一方的に付き合いを断った。                  そして私は高校を卒業したら、アメリカへ行く事が決まっていた。私の念願をやっと母が聞き入れてくれて、私はアメリカに留学する事になったのだ。現地にある日本の英語学校へ通う事になったのだ。そうしたら、あちらに住めるからだ!!(そこは卒業後に、現地の短期大学への入学が出来た。在学中に受けたTOEFLの試験でかなり良い成績を取れて、結構良い学校へと通えた。)        だからアメリカへ行く前に、シンちゃんと話してみようかと思った。正直、罪悪感があったからだ。一方的に付き合いを断った自分に対してだ。               だから、電話した。           とてもドキドキしたが、思い切って電話をかけたら、彼女本人が出た。そして、話した。                  私は、一度会わないかと誘った。外でお茶でもしながら話さないかと言った。だが、彼女は断った。               当時の私は、過度が付く程のお人好しだった。凄く純情だと、よく他人に言われていた。                  普通の家庭環境で、年相応の両親に育てられていないし、保守的で自分勝手な祖母しか普段いつも家にいなかったが、それでも幼児から小学生の低学年位までは、よく祖母に留守番をさせられていた。飼い犬と一緒に。  だからこの牝犬が、いつもびっしりと側にいた。母が私を叱り、打っていて、余りにもしつこくて酷い時には祖母も流石に止める様にと注意をした。だが祖母がしない時は、この犬が私の前に来て母に対して唸り、怒った。これは何度かあり、母は仕方無く止めた。 柴犬に近い、中型サイズのスピッツだったから、怯えて仕方無く止めたのだ。その度に悔しそうに驚きながらも、止めた。(本当にありがたかった。改めて、この彼女に感謝する。)                  私の事実上の母親はこの犬だと言う人がいた。何十年後に知り合った、有名な犬の訓練士だ。                 だからか、私は当時は物凄くうぶて純情だった。犬と言う、動物と言う純粋な生き物が絶えず身近にいて、実際の家族よりも身近で、信頼できる相手だったからかもしれないが。                  だから、シンちゃんに電話をしたのかもしれない。普通ならしなかったかもしれないから…?                 だから、私は彼女と話して驚愕した。   次回に詳しく記したいと思う…。 

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