第35話

母は甘堂の家に電話をかけたが、その内容の前にもう一つだけ、重要なエピソードが  あったので聞いてほしい。        この内容は、修学旅行へ行かないからその為のお金を払わず、行かないと断ったので、 今岡と甘堂が家に母を説得しに来た時が  あり、その直前に起きた事柄かと思っていたが、違っていた。            母と甘堂の義母が話していた時に、私は直ぐ側に座って、横で聞いていたから、その時の事柄を思い出したのだ。母もその事を凄く 言って、教えていたから。        だからもう一つ、これも電話をする大きな 理由だったのだ。            それは、                ★私が帰ろうとしていると、吉川達が着いて来て、嫌がらせを言って来た。象足コンビでは無かった。              あいつらが私を尾行して放課後に捕まえようとしたり、帰宅前にトイレへ入っていれば、私がそこにいるのを甘堂に知らせて呼んで 来たりしているのを古田は知ったのだ。  古田達は、私が樽辺の餌食にならない様に、又、下らない無意味な居残りをさせない様に、自分達も放課後にアンテナを張っていてくれたのだ。              だから像足達が私を尾行していて、古田が それを見ると、二人を呼び付けた。二人が 焦っていると、色々と質問をし出した。  今日の数学の授業で分からない箇所は無いかだとか、どういう問題が一番分かり辛いのかだとか、又は解き安いのかだとかを聞き始めたのだ。                私は本のしばらく、振り返って見た。そして直ぐに分かった、何をしているのか!足止めをしているのを。            象足共が早く離れて私を追いたいと思い、 チラチラとこちらを見て気にした。    「何を高木ばかり気にしてるんだ?そんなに気になるのか?何を後をつけたり、色々と やってるんだ??さぁ、そんな暇潰しをしてるんなら、今日習った事を言ってみろ?」 二人が困っている間に、私は滑る様に小走りで走り、階段を駆け下り、下駄箱へ!靴は ある。又無ければ、上履きで、そのまま帰るつもりだった!             急いで履いて出る。校門へと走り、くぐって外へ出る。早歩きをしてしばらくは行く…。甘堂が私を廊下で呼び止めたり、職員室へ 連行しようとしていると、堀江や青木が  来る。急いで私へ声をかける。何か頼んだ 手伝いをしてほしいから早く来てくれ、だとか、一寸私を貸してほしい、何かを手伝ってほしいだとかを言って連れて行く。職員室に呼ばれた時も、庭隅が無理矢理に私を連れて行く。先約してあって、聞きたい事があるからだとかを言って。           甘堂や今岡が怒って抗議しても、絶対に屈しない。私を無理矢理に自分と職員室の外へ 連れ出して、そこから離す。       そうして皆は私を解放する、急いで早く帰る様にと言って。             もし、象足達や吉川達が近くにいて、私が 一人になった途端にいきなり私に近付いたりしない様に、そいつらがいると、私に言い渡した後に声をかける。          何か見てるけど、今日の世界史の授業で何か質問があったのか?、今日の英語の授業で 分からない箇所があるなら聞いてみなさい?、等と言って私から離す。足止めを食わせる。                 だが、いつも成功する訳ではなかった。  上手くかち会わない時や、職員室にこの四人衆が全員、その時にいない時もあったからだ。                  そして鬼畜や象足や吉川達は、私を狩りたいし虐めたいから、必死だ。複数でたった一人を甚振る楽しいゲームだから。弱い者虐めの定版だろう。              だから古田達が近くにいない時に、樽辺や 象足達に挟み撃ちにされて連れて行かれた事もあり、その時に一度などは、上手く逃げ回り‼、下駄箱に着き、靴を履こうとしたら、樽辺と甘堂が来た。           長くなったが、この日の出来事がそれだ!!象足達はその時いなかった。       古田に足止めを食った時に、象足二人は、 これからも高木を追い回したりしていたら数学の成績をうんと低く付けると言われたのだ。二人が抗議しても、授業態度も関係あると言われた。              こいつらが、授業態度もテストの成績も悪く無いと言うと、そんな事をしているんだから、そうした嫌な不真面目な態度が授業にも現れているから、だからだと言われた。  だから二人は担任の樽辺に言い付けて、樽辺が古田に抗議した。悪くない成績を下げるなんておかしいと。            古田は、幾ら担任でも関係ないし、自分の教える科目や授業態度は部外者には分からないのだから自分が評価する、と言って譲らなかった。それで樽辺は今岡を引っ張り出したが、同じ事を強く言われた。正論だから、どちらの鬼畜も仕方無く諦めた。      だからそれで象足達は、私を邪魔しなくなる。こいつらは、クリアされた。こいつらも、相当に陰険で卑劣だったから助かった!!                 こいつらは、帰る間際に甘堂と一緒に来て私を連行する時にも、私が一度、家に電話をかけたいと頼んだ事があるのだ。校舎内に、 緊急だとか何かの時の為に、一台公衆電話がその通路近くにあったからだ。      だからかけて、祖母に甘堂と代わってもらい、早く帰す様に言ってもらおうとしたのだ。                  甘堂は拒んだが、私は必死に頼み、やっと奇跡的にも許可が出たからかけた。     電話が繋がり、もしもしと言おうとした瞬間に、片方の象足が横から手を出して受話器をかける所を下げて、電話をいきなり切った!だから、一言も話せなかった。      だが甘堂は、かけたのはかけたのだからと、絶対にもうかけさせてくれずに、無理矢理に連行された。              鬼畜同様にこんな卑劣な奴等が、二人減ったのは本当に良かった!          だから、下駄箱の所へ来た生徒達は、吉川、山田、結城だった。こいつらもカバンを持ち、帰り際に一緒に来たのだ。      樽辺は私に又職員室に来る様に言った。  私が、具合が悪いから早く帰りたいと言うと駄目だと言って、一番近くにいた山田に、 下駄箱から外へ出る扉の鍵を渡した。そしてかけろと言った。他には誰もいなかった。 (甘堂にも一度、具合が悪いと言って帰らせてもらおうとしたら、保健室に連れて行かれ、診せられた。その女医だか看護師なのか分からないが、いた中年の女は、何も問題が無いと言った。甘堂に嘘つき呼ばわりされて、職員室ヘ連れて行かれた。この女は、そこまでやった!!)           で、山田が嬉しそうに飛んで行って鍵をかけて、戻って来る。            樽辺が言う。              「ほら、もう出られませんよー?」    そしてこっちに来ないと、私を例の物置に 閉じ込めるとしつこく脅した。      きっと必ずされる。そんな事まで、普通は 考えないから?!人をそんな所に閉じ込めて鍵をかけて帰り、翌朝まで置いておくだなんて事を、平気で何度も言うだなんて?!  とにかく職員室に行くまでは、私を絶対に 校舎外に出さない気だ。         だが職員室に行けば、上手く行けばそこには電話が設置されている。何個だかは忘れたが、机には黒電話がある。        私は樽辺の方へ歩いて行った。      樽辺は又一人の手下に鍵を渡して扉を開けらせると、又鍵を受け取り、そのまま帰らせた。                  どちらの鬼畜も大変に感じ良く、気を付ける様にだとかを言い、手下共も愛想良く別れを告げて帰った。             この馬鹿らしい仲睦まじい態度も、こいつら全員の私への当てつけであるのは分かっていた。                  私が職員室へ行くと、今岡もいた。私を見ると眼鏡の奥の目を輝かせた。       「フーッ、やっとね!随分と時間がかかったじゃないの?!」            「ええ、でも捕まえましたから。」     丸で捕虜が脱走したかの様な話しぶりだ。 そして又言い掛かりを沢山つけられた。  時間も段々と遅くなり、帰してくれと言うと、樽辺が自分の車で送って行くから大丈夫だと何度も言い、甘堂達もそうしろとの強要だ!!                 断ると、こんなありがたい親切心を無駄に するのかと叱る。            だが絶対に拒否すると、何故かと詰問する。車酔いを良くするから、同じ車に教師と乗っていて、緊張して吐いたらまずいと言った。車酔いは嘘だが、こんなクズの車に乗ったら何処へ連れて行かれるか?!、又は車内で暴行されるかもしれない。凄く危険だ!!   そして、電話をさせてくれと言ったが絶対に駄目だから、いつまでも帰らなければ、きっと警察を呼ぶだろうと何度も言って、やっと目の前で電話がかけられる事になった!! 祖母が出る。何をいつまでもしているのかと叱られたから、職員室に又、理由は分からないが呼ばれていて帰れないと伝えた。   祖母が誰かと代われと言ったから、目の前に座って私を凝視している樽辺に電話を代わる様に言うと、無言で返事をしないし、代わろうとしない。              祖母に伝えると、早く帰さないと警察に言って、学校に連れ返しに行く様に頼むからそう言え、と言われた。           目の前の樽辺にそう伝えると、鬼畜三匹は焦り顔だ。警察と言う言葉に戸惑っている。 「そう言ってますから。帰さないと、警察を呼ぶって言ってますから。学校に行ってもらうからって。」              私は繰り返した。            鬼畜達が互いに顔を見ながら、急きょ相談する。                  「分かりました。」            樽辺が言う。              「じゃあ帰っていいんですね?」     「はい、良いですよ。」         「じゃあ今すぐに、歩いて帰る様にって  言ってますから。」            そうして私は電話を切った。       そして職員室を出ると、急いで、もうかなり暗くなった外へと出て、急いで歩いた。  坂を下り、平坦地へ出て、真っ直ぐに歩く。どんどん歩いていると、黄色いフォルクスワーゲンが止まっていた。横には背が高く、 太った若い男が立っていた。       私が足早に横を通り過ぎると、後ろから声をかけてきた。無視したが、凄くしつこい。後ろから、道を聞いてくる。本当に道に迷ったみたいだ。               そして私に駆け寄ったから、仕方ないから道を教えようと振り返った。        男が顔を見る。驚きながら、ニヤつく。  「ウワァ、びっくりしたぁ!」      私は嫌だと思いながらも、聞かれた道への 行き方を教えて側を離れた。       「そう、ありがとう。」          説明したから又歩こうとすると、家まで送って行くと言う。近いから構わないと言って 断ったがとてもしつこい。        急ぎ足で離れようとするといきなりカバンを無理矢理に引ったくった。        返す様に騒ぐが絶対に渡さない!!    車に乗らないなら、このカバンの持ち主が自分に声をかけてきて、買春をしないかと誘ってきたと学校に言ってやるから、と言われた。                  私は非常に焦った!!そんな事を言われたら、甘堂や今川達の思う坪だ!どんなに喜んで私を退学に追い込むか?!校長や副校長を上手く丸め込んで。           私は仕方ないから車に乗った。そして中を しっかりと見て覚えた。もし何かされても、警察が直ぐに捕まえられる様に。     だが、どっちにしろ、黄色いワーゲンなんて目立つし、そこまで心配する事も無かったのだろうが、何せ人のカバンを引ったくって、無理矢理に車に乗せる様な男だ!!    車に乗ると男は色々と質問をしてきた。私が外国人かハーフか聞き、名前や、学校の名前や場所を聞いた。家族構成も聞いた。母の仕事先なども聞いた。           そしてもし正直に答えないと、もし嘘だと分かったら降ろさないからと言われた。   うちの学校の制服を見たことも無ければ、 名前も知らなかったが、女子校だと分かると、自分の姉もそうだったと言っていた。 そして出身が横須賀で、そっちの方に働いていて、今は仕事の帰りだが、たまたま何か用があってこっちへ来て、道に迷ったとの事だった。                 私の自宅まで送ると言ったが、直ぐに、一緒に食事をしないかと誘ってきた。お腹が空いているからどこかでラーメンでも食べようと思っていたから、一緒に食べようと言い、断ると凄くしつこかった。         それで、家族が待っていて心配するし、帰ってから一緒に食事するからと何度も断ると、いきなり凄く怒り出した!       「何を気取ってるんだよ〜?ラーメンじゃあ嫌なのかぁ?!」            そんな事を何度も言って怒り始めたから恐くなり、そうではないと必死で説明したら、 やっと機嫌が直った。          じゃあ家の目の前まで必ず送るから、もし違う場所で降りて、車から降りた目の前の家に入らなければ、必ず学校に電話して、私が買春をしないかと言って来たから懲らしめの為にカバンを取り上げて、名前や学校の名前を見て電話をしたのだと言ってやる、と言った。そうしたら私は必ず退学になるからと、何度も言った。             男は自分の名前を、中川裕二だとか言い、年は25歳で独身だと言った。そして、又会いたいから、家の近くまで又会社の帰りに来るかもしれないと何度か言った。      私は仕方無く家の前で車を止めらせて、門の中に入った。男は、ジーッとそれを車の中から確認していた。            家に入ると母がもう帰宅していて、凄く怒った。                  「会社から戻ったらまだあんたは帰ってないんだから!」、              時間は6時半近かったと思う。      祖母から、学校に残されたのを聞いてはいたから、学校にも凄く怒っていた。酷すぎると言って。                私はさっきの男の話もした。       母も祖母も驚愕した。そんな恐ろしい事があり、家まで分かったのだから又本当に来るかもしれないと。こんな事になったのも、いつまでもしつこく職員室に残しているからだと。                   母は私に確認した。           「あんた、何で又残されたの?」     「だから、又いつもと同じなんだよ。何もしてないんだから!只、文句を言って虐めたいだけなんだよ。今日も理由を聞いたら、そんな事も分からないのかって、何回聞いても絶対に言わないんだから!だから、私の顔が嫌いなんでしょ。きっと甘堂達は、外人とか、その血が入ってる人間が嫌なんだよ。だから只、虐めたいだけなんだよ。」       母は祖母と相談をした。         「もう、本当に困っちゃうねー。幾ら何でも、こんな時間まで帰さないで。だからそんな変な男が、そんな事をするんじゃないの?!もう、普通会社から帰る時間帯だもの。もっと早く帰ってれば絶対にそんな事無いのに!!お母さん、もうその担任に電話した方が良いね?」            「うん、そうだよ。その方が良いよ。又そんな男が待ち伏せしてて、何かあったら大変じゃないの?!本当に、何かあってからじゃ遅いんだからね!!」           それで、母は甘堂の家に電話したら留守で、姑が出て、その姑と話した。       姑がしつこく何の用かと聞くから、今迄の事を全て話した。             彼女は物凄く驚き、私も聞こえる程の声が電話口から何度も聞こえた。        「まあ〜っ?!」、「そんな事をしてたんですか〜っ!!」、「なんて事を!!」     母とは一時間近く話していた。そうして、 切った。                姑は母に何度も謝り、私にも、何度も謝っておいてくれと言った。そんなとんでもない酷い事を嫁が沢山して、本当に悪かったし、どんなに私が嫌な、辛い思いをしてきただろうと。もう二度とそんな恐ろしい事をさせないし、絶対にもう放課後に残して、虐めなどさせないと言った。            そして、こうも言ったのだ。       実は甘道を、本当は自分達夫婦は息子と結婚させたくはなかったのだと。自分達は甘堂の、きつくて意地悪い性格を会って直ぐに見抜き、絶対に反対だった。だが息子はそれが分からず、又その時にはもう妊娠していた。だからもう仕方無くて、結婚を認めた。  だが今でも本当は嫌だし、子供が二人いるのだが、片方の子が甘堂によく似ていて意地悪い子だ。                だから自分達はその子の事は、良くなる様にとうんと注意をしていて、何か意地悪い事を言ったりやったりする度に物凄く叱って、 それを直していると。          そして甘堂は家でも、気に入らない事があると癇癪を起こして、ピシャっと物凄い声で怒鳴り飛ばす。だから自分達も仕方無いから一緒に生活しているが、凄く嫌だし我慢していると言ったのだ。            だからだ!               甘堂が家に帰りたくなくて年中青木や堀江を誘っては寄り道をして、真っ直ぐに帰りたがらなかったり、私にも、小さな子供みたいに早くお家に帰りたがるだなんて、下らない コメントをして馬鹿にしたりと、辻褄が合う。                  自分は舅や姑目と仲が悪いから、きっと嫌味を言われたり、子供の事も口出しされたりして面白くないのだ。それでそのストレス解消に私を利用していたのだ…。       修学旅行については、私は結果、行かなかった!!詳しく話せなかったから、又次回に話したい!

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