第15話
母はシンちゃんの家に電話をかけた。シン ちゃんがいない時かどうかは忘れたが、とにかく彼女の母親とはすんなり話ができた。 母は、シンちゃんがそのプールの会員のカードを返さない事を告げて、返してほしいと 頼んだ。 シンちゃんの母親は非常に驚いて、何度も 謝った。そして直ぐに娘に問いただして、 取り戻して返すと言った。 お母さんは娘に、カードを出して自分に渡す様に、そうしたら私達に取りに来てもらうからと言った。 シンちゃんは拒んだ。普段、自分がいつも 一緒にプールへ行っているのだから、自分がそれを持っていても構わないと親に言った。そして、私が従兄弟と行く時には、その時 毎回渡すと。又、私の母もそのカードを持っているんだから、私一人で行きたい時にはそれを使えば良いと言った。 彼女は絶対にそのカードを出さず、机の引き出しに入れて、絶対に渡さない。そして机にへばり付いて、引き出しを開けさせない様にしたそうだ。 母親は、それは自分の物ではなくて、リナ ちゃんのお母さんが買った物で、あの子が 泳ぎに行く為に買ったのだからと何度も説明したり、説得をした。 シンちゃんはそれでも分からず、絶対に嫌だ、返さないと言って、泣きわめきながら 大騒ぎしたそうだ。 そして大喧嘩になり、物凄い修羅場になった。無理矢理に机の中から出そうとしたが、シンちゃんは拒んだ。 結局父親が帰って来て、無理矢理に取り上げてからうちに電話があった。そして私達は 翌日取りに行き、シンちゃんの母親は謝りながらそれを返した。 だがうちに電話がかかってきた時にシンちゃんの母は私の母に、そのカードを取り戻すのに、娘が物凄く大騒ぎをして、嫌だと泣きわめき、凄く大変だったと言った。だから、嫌味を言った。 「あんなに嫌がって、大騒ぎをして!だから、そのホテルのプールってよっぽど楽しくて、良い所なんでしょうね?娘があそこまであんな風になって、返すのを嫌がったんですから。」 そう悔しそうに言ったそうだ。 そんな所に出入りさせてくれたから、あんな風に娘が,幼児の様になって返すのを嫌がり、そこまで悲しかったんだから、と言う 意味だと、母は言った。 「だけどそんなの、違うよ!自分の子供が おかしなだけだよ。だって普通ならちゃんとに返すもん。只、借りただけなんだから。 しかも無理強いして、強引に借りたんじゃ ないの?!」 結局シンちゃんの親もそんな風だから、あの子はあんなに幼稚でわがままだったのだろう。カードの件も、雪子さんや立花さんへの態度も、だからだ。 カードを返してもらい、私は一人でプールへ行き、もう夏も夏休みも終わりに近付いて いた。 シンちゃんはまだプールへ行きたくて、私に頼んだ。もう夏も終わりだから、どうしても又行きたいと。お願いだからとしつこく頼んだ。 「シンちゃん、私の悪口を立花さんに言ってたんでしょう。それで私が又喜んで連れて 行くと思うの?」 「言ってないよ、そんな事!!」 「言ったんでしょ?もう良いんだよ、聞いたんだから。」 「本当だよ、言ってないよ!!」 「じゃあ何で立花さんがそんな事を言うの?山田と一緒に言ったんでしょう?あの子、私を嫌いみたいだからね。」 「本当に言ってないよ!!チクショウ、あの立花のヤツ〜!!」 「言ったとしても、誰だっていない人の事を言う時はあるから、もう良いよ。だけど、 もう連れて行けないから。あのカードの事もあるし。」 「リナ、ごめんね。カードの事。でも私は リナが好きなんだから!!だから悪口なんて 言ってないよ。もし言ったんなら、そんなのは本気じゃないから。多分ノリで言っただけなんだから!」 そしてシンちゃんはどうしても、後一回だけでもプールに連れて行ってくれと頼んだ。 だが、もう絶対に連れて行かなかった。そんな事をしたら、何をするか分からなかったからだ。必ず立花さんに対して向かって行っただろうから。何か文句を言いながら。 母も、もう絶対に連れて行くなと行ったし、だから私自身も後からその自分のカードを 母へ渡した。 「もうママが持ってて。これがあると、又 シンちゃんにしつこくされて、ついしょうがないからって、連れて行くといけないから。」 「うん、あんたに返してもらおうかと思ってたんだよ。そうだよ、その方が良いね。じゃないと、その男に文句を言って飛びかかって行くよ。あの子ならやるよ。」 「分かってる。」 その後私と母と雪子さんとでプールへ行った。母はカードの話をした。 「わぁ、凄いわね〜。そうよ、絶対にもう あの子を連れて行かない方が良いわよ。あの子なら必ずその人に物凄い剣幕で文句を言って、大騒ぎするわよ!!そうしたら、リナ ちゃんだって連れ出されるかもしれないわよ?!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます