第8話
このラーメン屋の件があってからは、私と シンちゃんは違う店で食べたり、乾物屋だとかで菓子パンやスナック菓子を買って私の うちで食べたりした。 だが正直私は段々と、そんな事をしていつも一緒にいるのが面倒臭くなってきた。 家に帰ればおやつなんてある。必ず何かしらある。だからそれを食べて、早く宿題を済ませてのんびりしたい。一緒にいて宿題をする時もあったが、一人てないと何か気が散る。元々私は一人が平気な人間だった。 一人っ子だし母子家庭なので、母は私が生まれる前から働いていて、一日中いない。母の代りに家にいる祖母は、私と買い物へ行くのとお風呂へ入れる時と食事の時と、テレビを一緒に見る時以外は私を完全に放っておいた。 テレビはよく夜には一緒には見た。母が遅く帰って来る時には特にそうだった。祖母の好きな時代劇やドラマや洋画が多かった。 だが私がよく覚えているのは、まだ幼児だった時に、一番最初に、(これが最初で最後だが)祖母に抱きついたら物凄く怒って突き放された事だ。 「そんな恥ずかしい事をするんじゃないよ!いい?二度とするんじゃないよ!!」 嫌がられながらそう何度か言われて、きつく叱られた。私は小さいながらも、凄く恥をかいた気分だった。本当に恥ずかしく感じた。それからは、もう二度としなかった。 只、買い物だとかへ行く時には私と手を繋いだ。一応は危ないからだし、どっかへ行かれたら大変だからだったと思うが、基本スキンシップが嫌いだった様だ。 だから同じ家の中では、普段私は玩具や絵本にお絵描き、テレビと、祖母の飼い犬と一緒な事が多くて、祖母とは別の空間にいたし、用がなければお互いに特に口も、殆どきかない。それが当たり前だった。 だからか分からないが、学校の昼休みに友達同士で机をくっつけあって食事をするのも、内心とても面倒臭くて嫌だった。(中学でも、高校でもだ。) 何故自分の席でドンドン食べないで、そんな面倒な事を毎回するのだろう?!机なんか面倒なのにくっつけて、そして又元の位置に戻さなきゃならないのに!!小さな子でもないのに。馬鹿馬鹿しいし、嫌だなぁ。もうお腹が凄く空いてるのに。早く食べたいよ!! そして早く食べて好きな事がしたいよ。本を読むとか、ボヤーっとしてるだとか。じゃなきゃ、その興味を持った話の時にだけ、その相手と話をしたいよ。 一緒に食べるのが嫌でなくても、机をくっつけて、仲間が席に付いて、何名かで揃ってから食べ始める事が凄く面倒臭かったから、昼休みにはよくそう思った。 だから私は、多い時には毎日の様にシンちゃんと一緒にいるのが鬱陶しくなったのだ。 たまになら、良かった。 放課後にまで年中一緒にいるのは、もう嫌で苦痛だった。シンちゃんの性格が、結構我が強くて頑固だったから疲れたのもあった。
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