第41話変顔

「そろそろ来るかと」


「確か睡眠薬とか言ってたよな」


「はい、まずは睡眠薬を部屋に充満させその後グレイの魔具を発動させるのだと思われます」


「それにしても学園内だけでの開催になったのにリスクを冒してまでまぁ律義にやるなぁ(笑)」


「そうですね。それほどセドリック家が嫌いなんでしょう」


「ん?でも俺が恥をかかしたからじゃなかったっけ?」


「それは口実みたいなものなのでしょう」


「そーなのか。そんなに貧乏貴族が嫌いなのかねぇ...」


「まぁ貴族は金と女と武力や特殊な役名を拝命されてるかとかそういうもので、金はどの貴族にも通ずる共通のものですからねぇ」


「まぁーそーか。でもあーゆー派手な金色とか趣味悪くないか?」


「私もそう思いますが...まぁ彼らはそう思わないからやっているのでしょう」(苦笑い)


「確かにそーだな(笑)」




「外に出て出迎えるか...」


「わかりました」



なんで恨みもない俺がこんなことをしなきゃいけないんだ。

父上も父上だ。

確かに兄上のほうが成績が良かったかもしれないが、勉強の成績と実務の良し悪しは別だろうに...

兄上に法務省での働きが務まるわけない。

いや、だから兄上なのか。

父上も兄上も上の貴族にペコペコしすぎだ!

法務省の人間がそんなのでどうするんだ?


「ーー」


「ぉーぃ」


「おーい」


ん?こんな時間にだれだ?


「おーい」


「!?な!なんで!」


「ブフォ!ハハハッ八ッハッ」


「なんなんだよ!」


「ハハハッ」


「おい!」





「ハー落ち着いた。悪い悪いあまりにも(顔が)面白かったから。気にしないで。」


「...」


「で?何の用?」


「は?」


「は?じゃなくてさ」


「お前が声かけてきたんだろうが、それで何の用?って頭おかしいのか?」ゴクッ


「こんな時間に客もいないのにわざわざ外に来ないよ」


「なんの話だ?もう行くぞ」


「せっかくこの時間まで起きてたんだからし、なんかちょうだいよ」


「え?」


「え?じゃなくて睡眠薬とグレイの魔具だよ。ほら、はよ」


「!?」


「フフフッハハハッ」


「なんだよ!」


「いや、なんでもないグフッ...で、早くくれよ。眠いんだ」


「...」


「来た時間と持ち物がばれてるんだぞ?もう無理だろ。」


「なんでわかった?」


「それはまぁ特殊スキルだよ。でも別に防ぎに来たんじゃないんだよ。」


「どういうことだ?」


「まぁ防ぎには来たんだけどそれじゃあ俺が気付いたことがばれるだろ?それはそれで不都合だしそっちも困るだろうし...」


「...」


「でまぁグレイの魔具を使われるのは嫌だから活躍しないって約束するよ。だからまぁお互い歩みよろう」


「俺が報告する...」


「ん?」


「俺がお前にばれたことを父上に報告すればいいだけの話だ」


「そんなタイプじゃないだろ?どっちかと言うとこっちタイプだと思うけど。まぁ父君のタイプが少し違うくらいか」


「...それはお大きな違いだ」


「まぁ確かにな」


「真面目に生きてりゃいいことあると思うぞ」


「フンッ、どうだかな。まぁとりあえずこれはやるよ。俺が使わなかったのがばれるのも面倒だしな」


「どーも。じゃおやすみー」


トコトコトコ


「一件落着ですね」


「うん、よく向こうの性格と家庭環境まで調べてくれたよ。おかげで簡単にことが進んだ」


「当然です。それがわれらの仕事ですから」


「さすが。戻ろうか」


「はい」

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