第二章 『選択という名の強制』

プロローグ



 ――なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、


 不気味な死神の笑い声が木々を通して森の中を響き渡る。その笑い声は非情さの塊だ。あまりに醜く、あまりに惨い。

 だが、


 ――空っぽだ。


 赫い目の死神が笑いながら、選択肢を与える。与える選択肢は二つ。

 だが、選択肢はあってないようなものだ。


 選べる選択は一つしか無い。もう一つを選ぶことなど出来やしない。選択なんて体のいい飾りだ。


 ――怖い、駄目だ、助け――怖い、恐い、駄目だ。無理だ、でも俺がたす――恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

 でも、でも、俺が、俺が、


 ――俺が救けなきゃ。


 ――だから、選ばなきゃ。


 不条理な選択。選択では無い選択。


 これは、





 ――選択という名の強制だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る