第301話 ディオンも加わる企み
私がサフィアに何かされると思っているのだろうか?
そんな心配は杞憂なのに。
皆んな、本当に過保護なんだから。
「でも、ただサフィアの情報をリリスに集めてもらっているだけよ?だって偶然、ルドボレーク国の街で出会う事もあり得るでしょう?」
くすりと笑う。
偶然なんて、自分で作り出してしまえばいいのだ。
「その時、相手に対して失礼があったら大変だもの。こんなの自己防衛の範囲だわ。」
情報集めを疎かにする方が悪い。
「これで、ですか。」
「あぁ、」
「なら、それは致し方ないですね。」
「だろう?」
私が理解できない事を言い合い、頷く2人。
何だか、2人だけ話が通じてる?
「ディア様、あまりご自分の身を危険に晒さないでください。」
「それ、昨日コクヨウにも言われた。」
そんなに2人の目には、私は危なっかしく見えるのだろうか?
謎である。
1度、じっくり話し合う必要がありそうだ。
「大切なディア様が危険な事に向かわれるのは、私達は容認できないのです。」
「どうしても?」
「うっ、可愛くおねだりしてもダメですよ。」
「むぅ、ディオンのケチ。」
唇を尖らせる。
「ディオン、ここはディア様の好きにさせよう。」
「コクヨウ・・?」
私に助け舟を出すコクヨウに怪訝な眼差しになるディオン。
「考えてみろ?ここで僕達がどんなに反対しても、ディア様は勝手に1人で動かれるぞ?」
「・・・確かに。」
「なら、最初からディア様のお好きなようにさせて、僕達がお側で見守る方が良いと思わないか?」
「そうだな。」
「だろ?」
ひどい言われようである。
心外だ。
「2人とも、人の事を何だと思っているの!?」
頬を膨らます。
「お転婆な、私の大切な女性ですよ。」
「アディライトの為に動かれる、優しくて愛おしい人です。」
「っっ、」
顔に熱が集まる。
急に甘い言葉と表情を向けるのは、とても反則だ思うの。
「僕達は事実を言っただけですよ?」
「毎日思っている事ですし。」
「うぅ、」
羞恥に私はシーツに顔を隠して呻く。
「アディライトの事でお怒りのディア様は、どうされたいのか教えて下さい。」
「私達がディア様のお望みを叶えます。」
「・・・本当?」
シーツから少しだけ顔を出す。
「えぇ、ディア様のサフィアに対する最終的な結末は、どのようなものをお望みで?」
「私達も、ディア様とアディライトの為に動きますよ。」
2人が柔らかく微笑む。
「あのね?」
サフィアへの対応を私は2人に告げた。
「ディア様も、あれが欲しいとかのおねだりはしてくれないのに、どうしてこう言う時だけ甘えるのでしょうか?」
コクヨウが呆れの溜息を吐き出す。
「だって、別に欲しい物とかないし、あっ、でも、」
「ディア様、何ですか!?」
「欲しい物がおありで、ディア様!?」
期待に目を輝かせる2人。
「・・あの、ね?2人と何かお揃いの物は、欲しいかも。」
恥ずかしさに頬を染め、告げてみる。
パーティーでコクヨウ達の色を纏えた事は、守られている様で嬉しかったし。
何かお揃いの物が欲しいかも。
「っっ、ディア様が可愛すぎて辛い。」
「どこまで夢中にさせれば良いのですか?」
小さく何かを呟く2人。
「うん?今、2人とも何かーーー」
続きが言える訳がなく。
私は2人によって、ベットに押し倒されるのだった。
アディライトの敵は撃退すべし。
その志を掲げ、何やかんや有りながら海竜祭まで秘密裏に事を進めてきた私達。
「ディア様、見えてきました、あれがルドボレーク国の街です。」
馬車の開いた窓からアディライトが指差す先。
今回の私達が目指す最終目的地、ルドボレーク国の街が見える。
「あそこがアディライトが生まれた街か。」
「はい、懐かしいです。」
懐かしそうに見えてきたルドボレーク国の街を馬車の中から眺めるアディライト。
当の本人であるアディライトにも、私達の思惑は秘密なのだ。
固辞しちゃうからね。
「やっぱり、潮の香りがするのね。」
さすがは、港街。
海鮮類の食材に期待が高まる。
わくわくしながら、ルドボレーク国の門へと皆んなで向かう。
「ーーーどうぞ、お入り下さい。」
無事、門も通過である。
馬車は空間収納へ仕舞い、エトワールは私の影の中へ。
さっそくルドボレーク国の街の中へと入る。
「人が多いいね。」
周囲を見渡す限り、人の波。
「ふふ、海竜祭が近いですから、毎年この時期は観光がてら人の出入りも激しくなるのです。」
とは、アディライから。
全員が海竜祭が目的なのだろうか?
「ディア様、まずは取ってある宿へ参りましょう。」
アディライトに促され、宿へ。
「ーーーお待ちしておりました、ディア様。お部屋のご用意は出来ております。」
この街一番の宿。
そこにたどり着いた私を、頭を下げて待ち受ける子達。
「アイリス、皆んなもご苦労様。」
可愛い私の子達を労う。
アイリス達のメンバーには、この街に先に向かってもらい、私達が到着するまで宿を押さえてもらっていたのだ。
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